うなぎ屋の店内は、落ち着いた雰囲気で奥の4人掛けのテーブルに案内された。

コートをそれぞれ脱ぎながら、席につこうとした。


私「おしゃれして来ないでって言うから、コーディネート難しかったよー。ちょうどいいかな?」


少し冗談っぽく言ってみた。

本当はめちゃくちゃおしゃれに気を使ったコーディネートだ。


ケイくん「大丈夫だと思います。」


明らかに照れ笑いしながら言うケイくんが可愛くて、娘と顔を見合わせた。


娘「えー、アハハハ」


私「アハハ」


笑いながら席につくと、ほうじ茶とメニューが運ばれてきた。


私「どれにしようかな。」


3人でメニューを見ると、鰻重だと松竹梅で1番高いのが梅だった。それより高いものは鰻重に色々お造りなどがつく。


私「梅にしよっか?」

 

ケイくん「そうですね。」


娘「わーい」


鰻重の高い安いはよくわからないけど、せっかく3人で食べるのだからと奮発した。

もちろん私がご馳走するつもり。

映画の話をしながら、鰻重がくるのを待つ。

運ばれて来た鰻重には、肝吸いとお新香も付いている。


私「じゃあ頂きましょうか?」


ケイくん、娘「いただきます」


マスクを3人外す。

私とケイくんは、バイトの休憩時に食事で顔を合わせていたから素顔を知っていた。

娘ははじめましてである。

ケイくんは、やっぱりどことなく話題の俳優さんに似ている。

時折生やしている口元の髭は、今日はなく爽やかだった。

個人的には、ケイくんの髭は大好きだ。すごく似合っていると思うし、男性的なセクシーさがいい。髭は今までそんなにいいとは思っていなかったけど、似合っている人が近くにいなかっただけだったようだ。


私は、いつものようにInstagram用の写真の許可と撮影を手早くした。


娘「ママ撮り方下手ー、給食の献立写真みたいじゃん!斜めに撮る方がいいんだよー。」


娘のアドバイスを聞いて撮り直し。なかなかいい写真になった。


私「ありがとうございます!」


娘「いえいえどうも」


ケイくん「仲良いですねー。」


クスクス笑いながらケイくんが言う。

顔を少し赤らめているのは、緊張しているみたいだ。

まぁ目の前にこんなにかわいい女子高生がいたら顔赤くなるよね。

楽しい雰囲気の中、娘と付き合ってもらっても全然構わないなー。

義理の母も悪くないと思った。