「ケイは悪いやつですからねー」
美形毒舌キャラの大学生フウくんが、車のボディーをふわふわミトンモップで洗いながら言った。
人懐こいフウくんとはこの1ヶ月シフトによく入っていた。
フウくんは、欲しい車の頭金を貯めるために、バイトして少しずつ貯金しているそうだ。学業を修めつつ、卒業までに車の頭金を貯めておこうという堅実さが好印象だった。
フウ「私さん、まだケイと会ってないんですよねー、ほんと気をつけてくださいよ〜」
私「そうなの!挨拶とか無視される感じかな?」
フウ「そこまでの悪(わる)、ヤンキーではないですー」
私「良かったー?」
ケイくんの悪さに若干怯えつつ、まだまだシフトには入る予定がなかった私は、少し安心していた。
にもかかわらず、突然ケイくんがシフトに入ったのである。
通り過ぎた一瞬、フウくんと見間違えた私は、
「今日はフウくん入ってたんだ。」
そう思っていたので、ケイくんが来た時に誰?となった。
上司「はじめましてだよね、ケイくんです。
こちら私さん。」
簡単に自己紹介を交わした。
この人があの噂のケイくんかー!
何に気をつけたらいいのか分からないけど、気をつけよう。
涼しげな大きな目元のケイくんは、初対面と言う事もあり、悪には見えなかった。