すぐにでもイランに対する空爆にアメリカが加わると思っていたのですが、土壇場になってトランプ大統領が2週間の猶予を与えると発表しました。

 

この発表が行われる直前にトランプ大統領はイランとの戦争に反対するスティーブ・バノンらと会っていたそうです。

 

これで何かが変わるのではないかと思っている人がいるかもしれませんが、私は全然期待していません。

 

というのも相変わらずトランプの条件は民生用の核開発も許されない、ゼロ・エンリッチメントというものだからです。

 

核拡散条約でも民生用の核開発は許されているわけで、ゼロ・エンリッチメントなど認めようなら、それだけで要求は終わることは無く、次は弾道ミサイルの禁止だと次から次へとイランに対する要求がおそってくるだけです。

 

さらにオバマ大統領時代に結ばれたJCPOAにおいてもイランは民生用の核開発は絶対に放棄しないと主張し、それを実現してきました。ここで変な妥協をしたらイランのインテグリティーが疑われる事態になってきます。

 

現在イランはフランスやドイツなどのヨーロッパ諸国と交渉しています。彼らは以前にイランと結ばれていたJCPOAの当事者だったわけで、その時の合意はイランに対して民生用の核開発は許されていたので、それに戻ることができたら合意は可能なのですが、フランスなどもどうもゼロ・エンリッチメントに後退したようでさらに弾道ミサイルも議題にあげると言っているので、それをイランが認めることはあり得ないでしょう。

 

ヨーロッパがアメリカのカウンター・バランスにならず、アメリカの言いなりなのが本当に残念です。これもアメリカの一極主義の弊害なのでしょう。

 

トランプ大統領も問題の根源であるゼロ・エンリッチメントを放棄することもないでしょう。彼はオバマ大統領がうまくやっていた核合意を破棄したのはそれ以上の条件を引き出せると思ったからで、オバマの合意の条件に戻ることは許されないのです。

 

というわけで、アメリカの空爆は2週間伸びただけになるようです。