「1つ目は、ウクライナの危機をもたらした主要な責任はアメリカにあるということ。これはプーチン大統領が戦争を始めたことを否定するものでは無く、ロシアの戦争指導については彼に責任がある。アメリカの同盟国の責任を否定するものでは無いが、彼らは大概がアメリカについてきているだけである。私の主要な論点は、アメリカがウクライナに対してプーチンや他のロシアのリーダー達がここ数年にわたってロシアの存亡に関わると考える政策を追求してきたこと。特にアメリカがウクライナをNATOに加えることに取り憑かれウクライナをロシア国境の防波堤にしようとしてきたことだった。バイデン政権はこの問題を外交で解決することを拒否して2021年に再びウクライナをNATOに入れようとした。そこでプーチン大統領はその年の1月24日にウクライナを侵略したのだ。」
上記した部分はウクライナ戦争が起こった理由についてシカゴ大学のリアリストであるミアシャイマー教授が講演したものがNational Interest誌に載っており、その一部を私が訳したもの。
「我々は、日本が満州で実行し、そして中国のその他の地域においても継続しようとしているような不快な侵略路線を支持したり、許容するものではない。しかし日本をそのような行動に駆り立てた動機をよく理解するならば、その大部分は、中国の国民党政府が仕掛けた結果であり、事実上中国が自ら求めた災いだと我々は解釈しなければならない。」
この文章はアメリカの外交官でありリアリストであったジョン・マクマリーが満州事変を見て昭和10年に書いた文章で、青山学院大の福井教授がミアシャイマー教授の見解とそっくりだと指摘していたものです。
私自身も今回のミアシャイマーの議論と満州事変のマクマリーの議論は本当によく似ていると思っているので、この二人の考え方を比較しながら今回のウクライナ戦争の行方を考えてみたいです。