オバマ大統領の時にイランと結ばれた核合意、JCPOAと呼ばれるものでイランの核開発はかなり制限されて実際にイランが核を開発しようとしても1年間ぐらいかかってしまうと言われていました。(これをbreakout timeというらしい)

 

ところがトランプ政権の時にイランがきちんと合意を守っているのにもかかわらず、アメリカは一方的に合意を破棄して最大限の圧力を加える(maximum pressure)戦略に乗り出しました。

 

その結果、イランも核開発を加速させ、現在はイランが本気を出せば数週間で核兵器の開発が可能になったと『ワシントン・ポスト』に書かれていました。

 

アメリカのバイデン大統領は大統領選の期間中このトランプのやり方を批判し大統領になれば核合意に直ちに戻ると言っていたのですが、大統領になってからもすぐにこの公約を実施しませんでした。

 

現在も交渉が行われているようですが、イラン側は核合意に戻る条件としてイラン革命防衛隊をアメリカのテロリスト指定から外すことを要求しているみたいです。

 

イランがどうしてこのようなことを要求しているのか理由は定かではありませんが、アメリカ側はイランの要求を拒否しており、肝心の核合意が無くなってしまう可能性が強まっています。

 

果たしてこの合意がなくなれば、イランがすぐに核兵器を開発するかどうかはわかりませんが、イランを敵視しているイスラエルは誰よりもその可能性を恐れて、イラン国内の核技術者や軍人などの暗殺を現在でも行っているようです。

 

しかしイスラエル側の対応にもかなり問題があって、イスラエルの軍幹部や諜報機関のトップなどはイランとの核合意の遵守を懸命に訴えて連名で誓願書みたいなものを出していましたが、前大統領のネタニヤフがトランプ大統領に対して核合意を破棄にしろと唆していたり、現大統領のベネット氏も核合意を復活させることには反対しており、イスラエルの政治指導者が何を考えているかはあまりよくわかりません。

 

いずれにしろ核合意がなければ、イランがいつ核兵器の開発を加速させてもおかしくはなく、そうなればイスラエルやそれを擁護しているアメリカがイランの核施設関連を爆撃する可能性が高まります。

 

今日のワシントン・ポストにイランが核査察用のカメラを一部取り外したという記事が出ていました。

 

https://www.washingtonpost.com/world/2022/06/09/iran-cameras-jcpoa-nuclear/

 

もしイスラエルやアメリカがイランの核施設を空爆すれば、イラン側も必ず反撃すると私は確信しているので、中東の広範囲で戦火が広がることは確実です。

 

現在ロシアのウクライナ侵略によって石油などの資源価格が高騰してこれからどうなるか不安になっているのに、ここで中東まで戦火が広がっていったらどうなるのでしょうか。

 

日本にとってはウクライナの問題よりもこちらの方がさらに深刻な問題を提起するかもしれないのです。

 

 

 

 

 

 

 


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