私はこのまま財務省の言うままに緊縮財政を続けていくと、戦前に陸軍のいうなりになって亡国におちいったことを繰り返すことになると思う。

 

実際そうなっている。

 

では、戦前において、なぜ陸軍は方向転換ができずに日中戦争を抱えたままで対米戦に望むという戦略的に愚かなことをしてしまったのだろうか?

 

昭和12年に日中戦争が始まった時に、陸軍の中、主に参謀本部に石原莞爾や多田駿のような対中融和派が存在していました。

 

ところが第一次近衛内閣が中国との早期講和に失敗すると、東條英機のような対中強硬派によって彼らは陸軍から追放されてしまったのです。

 

陸軍は反対派を追放することによって組織の運営をスムーズにできるようになったと考えたかもしれません。組織内で厄介な反対派が消えてしまい、今でいうところの「一枚岩」が達成されたからです。

 

ところが今度は逆にそのお陰で政策転換が簡単にはできなくなってしまったのです。なぜなら鳥居民さんが指摘したように中国からの撤兵を実行すれば、中国との戦争を拡大した東條らの責任が追求されることになり、今度は彼らが予備役に編入されることになったかもしれないからです。

 

もし石原莞爾のような対中融和派を辞めさせず省内に置いておけば、軍部が中国から撤退するようになった場合でも省内の人事が転換することだけで済んだかもしれませんが、彼らを軍から追放することで政策の失敗がもろに組織の責任になってしまったのです。

 

現在の財務省もこれと同じ構造上の問題を抱えていると私には思われます。財務次官が一方的な意見を文藝春秋に書いたということは、財務省内でそれに対して政策的に反対する人は存在しなかっと想像できるのです。

 

つまり、現在の財務省は「ばら撒き批判」で一枚岩になっているのです。

 

だから基本的に緊縮財政がどんなに間違っていたとしても、財務省が内部から変革することはあり得ず、日本がどんだけまずい状態になっても積極財政には反対し続けるのだろうと私は思います。

 

東條英機が率いる陸軍が徹底的に中国からの撤兵に反対したように。