前回に続けてもう少しチャイナ・ロビーのことを書いてみようと思います。

 

日本が太平洋戦争でアメリカに敗れたことで、チャイナ・ロビーの目標が一見したところ達成されたように思われました。

 

なぜなら彼らはケナンが回顧録で書いているように、「日本がいなくなりさえすれば、情勢の支配者として中国が座ることになり、そうすればアメリカにとっては経済的浸透や貿易の機会拡大につながるものと頑なに信じていた」からでした。

 

ところが、日本をいざ排除してみたときに東アジアに出現したのは共産化された中国だったのです。

 

チャイナ・ロビーはこのような情勢になったことについて、自分達の中国に対する見方がずいぶん甘かったのではないか、と少しぐらいは反省することがあっても良かったはずです。

 

ところが、彼らはなぜか陰謀論でそれを説明しようとします。

 

「むしろ、それは悪魔的な賢さと巧妙さを持った共産主義者がアメリカ政府内に陰険な方法で浸透したこと・・・高潔で心底から反共だった中国の国民党政権が『見捨てられ』デービスやサービスのようなソビエトの同調者の狡猾な術策によって中国が『銀の皿』に載せて共産主義者に提供されてしまったことの結果であるという。」

 

ここからアメリカでは共産主義に甘いと思われる人たち(公職についている人々から俳優などの芸能関係者に至るまで)を追放する「赤狩り」に突き進んでいくことになりました。

 

チャイナ・ロビーと戦後アメリカで起こった赤狩りはコインの表と裏の関係になります。それを示す何よりの証拠が、赤狩りを始めたマッカーシー議員は実は以前は有力なチャイナ・ロビーの一員だったのですから。