先日ファリード・ザカリアがやっているGPSという番組で習近平の特集の予告をやっていました。その番宣を聞いていた時にふと思ったことを書いてみます。

 

中国の習近平国家主席は少年時代に毛沢東の文化大革命に遭遇し、中国共産党のエリートであった父親が失脚、姉は自殺未遂、本人も農村に下放されるという辛酸を舐めます。

 

毛沢東によってこのような悲惨な体験を被らされたのに、彼は権力を握ると鄧小平の引いた路線を否定して、毛沢東の路線に戻るという不可解な行動を見せるのでした。

 

なぜ習近平国家主席がこのような行動をとるのか、ふと思いついたのが世間でよく言われている傾向です。

 

「虐待された子供は大人になると自分の子供に対して虐待を繰り返す」というものです。

 

つまり習近平にとって毛沢東は政治的に「毒親」だったのです。そして中国で権力を握った今、習近平は中国国民に対して「毒親」として振る舞おうとしているのです。

 

以前にこれと似たことを読んだ気がして、本棚を探して見つけました。フランスの評論家ドミニク・モイジという人が書いた『感情の地政学』に次のような箇所があります。

 

「虐げられた子供が大人になって自分の子供を虐げるように、イスラエルのパレスチナ人に対する無知と侮蔑、残忍性の入り混じった仕打ちは、イスラエルがユダヤ人の最近の歴史から引きずる傷跡と関係があるのかもしれない。」

 

私は中国が発展してアメリカを抜くようになるという話よりも毛沢東によって「毒親」と化した習近平が中国国民に対してどのように振る舞うのかの方が心配です。