現在の財務省や戦前の帝国陸軍が内部の反対者を追放して政策の転換ができなくなったことを書きました。

 

もちろん官僚組織の暴走を止めるのは組織の修正力に頼るだけでは不十分で、何よりも政治家の役割が問われるのですが、政治家はその役割にきちんと答えたのでしょうか?

 

安倍総理は2度目の総理の座に着くにあたり、日本経済をデフレから脱却させるためにアベノミクスを掲げたのでしたが、結局は2回も消費税を上げるという財務省の思惑通りのピエロを演じただけに終わりました。

 

現在の財務省の暴走を抑制できなかった安倍総理に対して、経済評論家の三橋貴明氏や文芸評論家の浜崎洋介氏などが戦前に軍部の暴走を止められなかった近衛文麿に似ているのではないかと指摘していましたが、それは正しい批判だったのでしょうか?

 

戦前の明治憲法では首相の権限は現在の憲法よりもはるかに弱いものでした

 

近衛首相が陸軍大臣である東條に向かって日中戦争がアメリカとの交渉の妨げとなっているから、中国から撤兵せよと命令し、東條が拒否したらどうにもならなかった。

 

一旦総辞職して内閣を組み直すという外相の松岡洋右を辞めさせたときに使った手段も陸軍大臣には現役武官制が存在したために使えなかった。

 

それでも歴史家の鳥居民さんによれば近衛は個人的に東條に3回も直接会って中国からの撤兵を説いたが、東條は受け入れず最後は閣議で中国からの撤兵に声をあげて反対し近衛内閣を潰してしまった。

 

果たして安倍総理は近衛が軍部に対して戦ったように財務省に対して戦ったのでしょうか?

 

安倍首相にとって不運だったことは同志だと思って財務大臣に任命した麻生太郎が、いつの間にかその立場を180度転換して、財務省の緊縮財政路線の擁護者になっていたことでした。

 

それでも安倍首相が本気になって財務省と戦う気があったなら、財務省の言いなりになる麻生大臣を罷免することもできたはずだが、麻生派の叛逆を恐れて何もしなかった。

 

総理任期の最初の方は消費税の増税の時期を遅らせようと選挙を実施したりしたが、モリカケのスキャンダルが出るといつの間にか財務省の言いなりとなって2回目の消費税増税を行ってしまった。

 

つい最近『産経ビズ』に次のような記事が載っていました。

 

「講演は非公開で、質疑を含めて約1時間行われた。安倍氏は新型コロナウイルス禍での経済対策について、『コロナ禍で間違っても増税はダメだ。政府・日銀連合軍で財政出動するしかない。今やらないと大変なことになる』と指摘。『東日本大震災の復興増税で、その後の日本経済に大きな負荷がかかった。そこからアベノミクス構想が始まった』とも説明した。

 

 安倍氏はまた、会合冒頭、約30人の出席議員に『保守政党の皆さんの役割は、日本を日本たらしめているものは何かということに常に思いをはせることだ。もし、その方向と違う方向に党や国が進むようであれば、自分たちが行動するという気概を持って取り組んでいただきたい』と呼びかけた。」

 

呆れて物も言えない。近衛の方がはるかに真剣に軍部と戦ったと私は思います。