近頃あまりブログを更新していなかったのですが、その間にも歴史の80年周期説は興味を持った人が多かったみたいなのでで少し続きを書いてみました。
以前に紹介したジョージ・フリードマンの最新刊が日本語に訳されて『2020-2030 アメリカ大分断』というタイトルで発売されています。
この本でフリードマンはアメリカの歴史において80年ごとに訪れる周期を「制度的変化」(Institutional Change)と名付けています。
1945年の第2次世界大戦の終わった年を起点とし、その80年前の1865年はアメリカの内戦であった南北戦争が終わった年でした。(南北戦争は1861-1865です)
さらに南北戦争の終わった1865年からおよそ80年遡る(実際は79年)1776年にはアメリカで独立宣言が行われた年になるとフリードマンは指摘しています。
そして1945年から80年経った2025年あたり(ちょうど1期目のバイデン政権が終わるころ)次の重大な変化がおとずれるのではないかと予想するのです。
こんなのはただの偶然じゃないのかと思われる人の方が多いと思われますが、この80年周期はアメリカだけでなく日本やヨーロッパにも適用できるのではないかと私は思っています。
アメリカで南北戦争が戦われている時、日本では明治維新の真っ最中で南北戦争が終わった年の2年後の1867年は徳川慶喜による大政奉還が行われた年でここで二百数十年続いた江戸時代が終わりを迎えるのです。
ここでヨーロッパに注目すると日本の大政奉還から3年後の1870年に普仏戦争が勃発し、プロイセンが勝利することで中世以来バラバラだったドイツがようやく統一を果たすのです。
また、ドイツが念願の統一を果たした1870年からさかのぼることおよそ80年前(正確には81年)の1789年はあの有名なフランス革命が勃発した年にあたるのです。
フリードマンは南北戦争の80年前の1776年にアメリカの独立宣言が行われたと指摘していましたが、1870年のドイツ統一からおよそ80年前にあたる1789年から始まるフランス革命とはそんなに離れていません。
日本でも明治維新からさかのぼること80年前、それがどのような時期であったかと言えば、『物語フランス革命』の著者である安達正勝氏は次のように書いています。
「フランス革命の本格的火蓋が切られた一七八九年はちょうど寛政元年にあたる。時のフランス国王はルイ十六世であったが、日本は徳川十一代将軍家斉の時代であり、老中松平定信による寛政の改革が行なわれていた。」
フランス革命と寛政の改革はほとんど同じ時期だったのです。
これまで書いてきたことをまとめてみます。
日本もアメリカもヨーロッパにおいても80年ごとに国家の性質を変えるような大事件が起きているのです。
日本 寛政の改革ー明治維新ー1945年
ヨーロッパ フランス革命ー普仏戦争ー1945年
アメリカ 独立宣言ー南北戦争ー1945年
もしこの日米欧「80年周期」仮説が正しいならば、第2次大戦が終わった年である1945年から次の80年周期が始まる2025年に向けて現在は1945年からの波の最終段階であるわけです。
このような観点から現在のアメリカやヨーロッパ、日本を眺めてみればどの地域も不安定で楽観的な気分になれず歴史は周期的に変遷していくのではないかという筆者の仮説を裏付けているのではないかと思うのです。