前回のブログで900年前の源平合戦と今起こっている最中のブレグジットをグローバルとローカルの戦いという観点からモデル化できることを示したのですが、輿那覇さんの『中国化する日本』を読んで他の歴史的な重大事件もほとんどがグローバルとローカルの対立という観点から理解できるということがわかりました。
そこでここからは以前のブログでも書いたジョージ・フリードマンが指摘する80年ごとに起こるアメリカの重大事件をグローバルとローカルの対立から描き直したいと思います。
そうすることでこれからのアメリカがどのように変化するのかを割とわかりやすく見通せると思うからです。
フリードマンの80年周期は次のように示されています。
1 アメリカの独立宣言(1776年)
2 1861年から1865年までの南北戦争
3 1945年の第2次世界大戦終戦
4 今から5年後の2025年
まずはアメリカの独立宣言から始めていきましょう。
これは何がグローバルの問題で何がローカルの問題かを判別するのはさして難しくはありません。
イギリスがアメリカ大陸でフランスと戦うというフレンチ・インディアン戦争に勝利したのちに、北米13植民地に対して課税と支配を強化しようとします。これがこの当時のグローバルな問題にあたります。
これに反発した植民地側が大陸会議を開き、イギリスの要求を拒否したのがローカル側の立場になります。
この対立は軍事衝突に至り、最終的には植民地側の勝利に終わり1783年のパリ条約でアメリカの独立が認められたのです。
つまりアメリカの最初の歴史の節目はローカル側の勝利で終わるのです。
次に南北戦争を見ていきましょう。
南北戦争はアメリカの内戦だったため、一見するとローカル対ローカルの戦いに見えてしまうのですが、実際は違います。
その当時の英国は世界で最初に産業革命を成し遂げ、圧倒的な国力を示すようになっていました。そのときに英国のとっていた外交について歴史家の渡辺惣樹さんは「自由貿易帝国主義」だったと書いておられます。
南北戦争以前のアメリカの南部は多数の奴隷を使うプランテーション農業で綿花を作り、それをイギリスに輸出していることから大英帝国の自由貿易帝国主義にがっちりと組み込まれていたのです。
一方、アメリカの北部の方は、イギリスと同様に工業国になりたいと思っていたものの、南部の希望する自由貿易ではイギリスとの勝負に歯が立たず、「幼稚産業の保護」のためにも保護関税を欲したのでした。
この自由貿易と保護貿易をめぐる利害の対立が50万人にも及ぶ犠牲を出したのであって、奴隷の解放は副次的なものに過ぎなかったのです。
やはりここでもグローバルの問題とローカルの問題が対立し、激しい犠牲を出しながらもローカルの論理で戦った北部の勝利で終わったのです。
続く