冷戦後のアメリカは、少しの期間を除いて継続的に戦争を続けてきましたが、それによって世界が安定してきたとはとても言えません。

 

フリードマンもそのことをしっかり認識しています。だからこそ次のように書いたりしているのです。

 

「成熟した国家戦略は紛争を最小限にとどめるものである、なぜなら150もの国に米軍を駐留させることで終わりのない紛争を抱える可能性があり、戦争はしばしば敵によって始められるからである。」

 

アメリカが終わりの無い戦争をし続けているのは、アメリカが「帝国」を維持し続けようとしているからで、これ以上の戦争を避けるにはアメリカが「帝国」を放棄する必要があるのですが、彼はそのようには書かないのです。

 

私は以前からフリードマンの言論に注目してきました。彼の祖先は東欧に住んでいたユダヤ系で、ヒトラーとスターリンに翻弄された後にようやくアメリカに安息の地を見つけたと彼の以前に書いていた本で読んだ覚えがあります。ある種ネオコンと似たところが存在し、アメリカの軍事力を無条件に善であると考えてしまうところがあるのです。

 

そこで、現在のアメリカの外交がうまくいかなくても、「成熟」したアメリカの外交戦略があれば、アメリカはこれからも日本やその他150の国々に米軍を駐留させても不必要な戦争に巻き込まれることにはならないはずだと信じているのです。

 

私は全くそうは思いません。

 

彼の指摘する80年や50年で巡る周期についてはその分析は素晴らしいと思いますし、おそらくは正しいでしょう。

 

しかし次にアメリカに訪れる、特に80年周期の波は、彼の主張とは正反対にアメリカが帝国を放棄するように動くものと私は予想します。

 

次回からはその理由を書いてみたいと思います。