前回のブログで紹介したジョージ・フリードマンの新刊『静けさの前の嵐』をようやく読み終わったので感想を書いてみたいと思います。
フリードマンによればアメリカの歴史は2つの異なる波によって変化してきたと書いています。
一つは80年ごとに現れるInstitutional Change(国体的変化)と呼ばれるものです。
第2時世界大戦が終わった1945年を起点として、それから80年前に南北戦争(1861-1865)が戦われ、さらにその約80年前の1776年にはアメリカがイギリスの植民地からの独立を宣言した年に当たります。
この80年周期においては、それ以前のアメリカとそれ以後のアメリカを比べると全く異なる、非連続的な変化を遂げることが特徴です。
もしこの80年周期仮説が正しければ、第2次大戦の終了時から80年経過する2025年に次の波が来ると予想でき、2020年現在からみてみればもう後5年しかないわけです。
次にアメリカを支配しているもう一つ波は、50年ごとに現れるSocioeconomic Change(社会経済的変化)だとフリードマンは指摘しています。
「最初の波はジョージ・ワシントンから始まり、ジョン・クインジー・アダムズで終わった。第2の波はアンドリュー・ジャクソンで始まりユリシーズ・S・グラントで終わった。第3の波はラザフォード・B・ヘイズで始まりハーバート・フーバーで終了した。第4の波はフランクリン・ルーズベルトに始まり、ジミー・カーターで終わった。第5の波はロナルド・レーガン大統領で始まったのだが、誰で終わるかはまだわかっていない。彼か彼女は2028年の大統領選挙で選ばれるだろう。」
こちらの波の方は経済政策に関わるもので、例えばカーター大統領時代のアメリカはインフレがひどくアメリカの経済がかなり停滞していたのですが、レーガン大統領になってアメリカのインフレを高金利にして退治するとともに徹底的な規制緩和などでアメリカの経済を復活させました。
ところがレーガン大統領の新自由主義は時間が経ってくると勝ち組と負け組の格差を拡大させ、それに対してアメリカのかなりの国民が不満を持っていることを証明したのがトランプ大統領の当選だったのです。
このように経済政策は最初に有効であったとしても、時間が経てば副作用ばかりが目立つようになり、そうなるまでにおよそ50年間かかるというのです。
そしてこの80年周期の国体的変化と50年周期の社会経済的変化が交錯する2020年から2030年にかけてアメリカは多大な変化を迎えるだろうというのがフリードマンの予想なのです。
続く