手嶋龍一氏と佐藤優氏の対談本『日韓激突』を読みました。この本で佐藤優氏は相変わらずイランを「神権国家」であると断言しています。

 

「イランの大統領は、西側同様に、国民による民主的な直接選挙で選ばれます 。しかし、大統領が国家の実権を握っているわけではない 。イランという国は、高位の聖職者たちが密室で選出する最高指導者の掌中にある」のが、その理由のようです。

 

確かに、イランにおいては選挙で選ばれた国会議員からなる国会で多数を得られた法案でも、そのまま実施されることはありません。

 

国会を通過した法案はガーディアン・カウンシルという機関にあずけられます。ここでは宗教指導者であり、元首である、現在で言えばハネメイ氏が任命する法学者と議会の任命する同数の法学者の合意を得なければならないのです。

 

ガーディアン・カウンシルの中身が宗教指導者が任命する法学者だけで構成されていれば、佐藤優氏が指摘する神権政治といえるかもしれませんが、それと同数の国会から指名される法学者を入れることで民主的な要素を担保しているのです。

 

フランスのエマニュエル・トッドがイランのイスラム革命をある種の民主主義革命と評しているのはこの辺りのことを指摘していると思われます。

 

ただやはりイランが西側の民主主義国と決定的に異なっているのは、佐藤さんがこの本の中で指摘している通り、「しかし、革命防衛隊というのは、ロウハニ大統領ではなく最高指導者ハ ーメネイ師直轄の部隊」という点です。

 

選挙で選ばれた大統領に軍隊の指揮権が無いということがイランにおける根本的な問題なのです。

 

ただ、現在のようなイランの体制は決してイランが最初に発明したものではありません。これを世界で最初に実施したのはあのドイツの鉄血宰相、オットー・フォン・ビスマルクなのでした。