久しぶりに更新します。
『クライテリオン』という雑誌に国際政治アナリストの伊藤貫さんの対談が載っていたので読んでみました。
彼は以前から日本の親米保守の欺瞞を指摘している人で、私もその言論に納得することが多く注目している人物です。
今回の京都大学の藤井聡教授との対談でも話題は核戦力の話や日本人の臆病さといった多岐にわたる中で、私が一番納得できたのはこのブログでもよく取り上げるイランの問題でした。
「今のイランの状態は、1941年の日本の状態と同じですね。『座して死を待つか、負けを承知でファイト・バックするか』」と言明しており、これには筆者も完全に同意しています。
ただ私は以前から伊藤さんの書かれているもので同意できないものがあって、それは彼の持っている対中国観なのです。
彼は以前から中国を高く評価していて、今回の対談でも「アメリカと中国の覇権戦争は今後30年間も続く」と言い切っておられるのです。
私は伊藤さんがこれほど中国を評価される理由がよくわかりませんし、推測すればこれまで中国崩壊を唱えていた人たちの予測が全然あたっていなかったことが原因ではないでしょうか。
確かに先日亡くなった長谷川慶太郎氏やアメリカのゴードン・チャンなども1990年代から中国崩壊論を唱えており、それが現実には全く起こらなかったことで伊藤さんが中国崩壊論をバカにする気分になるのは同意できます。
ただそれだからといって、中国にアメリカとあと30年間も戦える能力があると考えるのは無理があります。
私は中国崩壊論がこれまで実現しなかった大きな理由が2つあると考えています。
一つ目は時間差の問題です。
ロシアで革命が成功したのは第一次世界大戦でロシアがドイツと戦った結果でした。第一次世界大戦が終わったのは1918年です。
一方、中国で革命が成功したのは支那事変から第二次世界大戦にかけて国民党の中国が日本と戦った結果でした。第2次世界大戦が終了したのは1945年で、第一次大戦が終了した時とは27年の差があるのです。
だからソビエトが崩壊してから30年経っても中国共産党が崩壊していないのは、この27年の時間差を考えたら現在でも誤差の範囲内なのです。
次の理由は、共産中国に対してアメリカや日本といった先進国が甘やかせ過ぎたことです。
ソビエトが第2次大戦で勝利し、東欧などに広大な勢力圏を拡大した時にアメリカのジョージ・ケナンは政治的な「封じ込め」政策を採用しようとしますが、実際に適用されたのはポール・ニッツェの軍事的な「封じ込め」政策でアメリカの過大な軍拡にソビエトはつきあわされてしまいました。
一方、中国では天安門事件を起こしたにもかかわらず、中共に対する経済制裁は中途半端に終わりました。さらに「中国の経済発展を支援すればいずれは民主化するだろう」という今から振り返れば大間違いのアメリカの中国に対する理想主義につきあわされてしまったのです。
ところが、上記した2点の有効性はもはや失われたために、現在ににおいてアメリカを中心に中国に圧力をかけ続ければ、中国においてもソ連邦のように共産党の崩壊はそんなに先のことではないと推測できるのです。
