ケネス・ポラックというブルッキングス研究所の研究員がイランの政治について書いており、とても納得できるものだったので少しだけ訳してみました。
ポラック氏は以前アメリカのイラク戦争に賛成していましたが、現在ではイランとの戦争には反対しているようです。
「単純かもしれないが、イランのリーダーシップは2つの異なるグループに分かれていると言っても間違いではないだろう。現大統領のロウハニ氏を代表とする実際主義者達とイスラム革命防衛隊が支配する強硬派たちである。これらのグループの接点になっているのが宗教指導者のカメネイ氏である。ここ数年カネメイ氏は強硬派を好んでいたが、一般市民達が実際主義者を好んでいたことを十分に認識していた。そして実際主義者達が2015年のアメリカとの核合意を交渉し、合意に導いたのである。彼らの言い分はイランの核開発に制限を加えることによって国際的な経済制裁をやめさせるというものだった。そして、それによりイラン経済が復活し、イランの国民が幸せになり、イランの体制を安全にするというものであった。」
https://www.realclearworld.com/articles/2019/07/03/trumps_iran_policy_lucky_or_doomed_113050.html
私は現在のイランの体制が戦前の日本ととても似ているとしつこいほど指摘しているのですが、今回は1930年代にイギリスの駐日大使ロバート・クレーギーが日本について書いている文章を紹介してみたいと思います。
「すべての日本人が国家の利益の増大を希望するのは自然なことですが、穏健派と急進派との間には明確な線が引かれなければなりません。穏健派は、漸進的な経済発展を志向しています。彼らは日本経済を覆う病理を解決するために、死活的に重要な天然資源の獲得と海外市場の拡大を目指しています。対する急進派は神話的な狂信主義にとらわれており、世界制覇を目指しているのです。」
『大英帝国の親日派』アントニー・ベスト77ページ
クレーギー大使は、現在で言う「リアリスト」的な考え方を持っており、「穏健派へのアプローチを続ければ、最も困難な危機を克服できる共通の立場を発見できる」と考えを持っていました。
この点では同時期にアメリカの駐日大使を務めたジョセフ・グルーとよく似た考えを持っていたのですが、アメリカのルーズベルト大統領やイギリスのチャーチル首相らは彼らの提言にほとんど耳を貸さず、日本の強硬派の立場を有利にする外交を取り続けるのです。
その結果、クレーギー大使は太平洋戦争中の昭和18年に戦争回避のためにチャーチル内閣は「無為無策」であったと批判して物議をかもすのでした。
このような戦前の日本とアメリカの歴史を参考にするならば、アメリカがイランに対して行う外交はイランの穏健派の立場を強めるものでなければならず、トランプ大統領の核合意からの一方的な離脱はイランの強硬派の立場を強めるもので、トランプ大統領が全く望んでいないイランとの戦争をより近づける結果になりかねないのです。
