これまで現在のイランの体制が戦前の日本の体制に似ているということを書いてきたわけですが、アメリカとイランの関係を追っかけているとよく戦前の日本とアメリカのやり取りと似た出来事に出くわします。

 

オバマ大統領の時代にイランとアメリカによる核合意ができて、イランはそれをちゃんと守っていたのですが、トランプ大統領が一方的に合意を破棄して、最大の経済的な圧力を加えるようになってきました。

 

そしてポンペイオ国務長官が12ヶ条の条件を出すのです。

 

1 イランは核プログラムの軍事的側面につきIAEAに詳細な説明を行い、また永久かつ検証可能な形で各プログラムを永久に放棄すると宣言しなければならない。

2 イランはウラン濃縮を止めなくてはならず、またプルトニウムの再処理を決して追求しない。これには重水炉の閉鎖を含む。

3 またイランはIAEAに対し、イラン国内のすべての土地に対する無制限のアクセスを付与しなければならない。

4 イランは弾道ミサイルの増備、核積載可能なミサイルの発射と開発を停止しなければならない。

5 イランは、イラン国内で誤った容疑で拘束されている、あるいは行方不明になった全てのアメリカの民間人、また我々のパートナー、同盟国の民間人を解放しなければならない。

6 イランは中東のテロリスト組織への支援を止めなければならない。これにはレバノンのヒズブッラー、ハマース、パレスチナのイスラーム・ジハード組織(PIJ)を含む。

7 イランはイラク政府の主権を尊重し、シーア派民兵の非武装化、非動員、再統合を容認しなければならない。

8 イランは、アンサール・アッラーの民兵への軍事支援を停止し、イエメンにおける平和的な政治解決に向けて取り組まなければならない。

9 イランは、イラン人司令官の下にある全ての勢力をシリアから撤退させなければならない。

10 イランは、ターリバーン及びアフガニスタンと域内にいるその他のテロリストへの支援を止め、またアル=カーイダの隠蔽を止めなければならない。

11 イランは、革命防衛隊のゴドス軍によるテロリストと軍事的パートナーへの支援を止めさせなければならない。

12 イランは、アメリカの同盟国を多く含む近隣諸国に対する脅迫的行動を止めなければならない。この行動にはイスラエル殲滅の脅迫、サウジアラビアとUAEにミサイルを持ち込むという脅迫、国際的海運への脅迫、サイバー攻撃による破壊の脅迫を含む。

 

https://www.meij.or.jp/kawara/2018_021.html

 

イランが万が一にこの条件を受け入れるとは思えませんが、もし受け入れたなら東京裁判で東郷外相がハル・ノートを受け入れる可能性について語った部分がしっくりくると思われます。

 

「日本は今や、長年の犠牲の結果をすべて放棄するばかりか、極東の大国たる国際的地位を捨てることを求められたのである。これは国家的自殺に等しく、この挑戦に対抗し、自らを護る唯一の残された途は戦争であった」

 

果たしてイランはアメリカの挑発に対していつまで我慢できるのでしょうか?

 

私としてはどうにかイランに対しては我慢してほしいと思っているのですが、ビスマルク型憲法を持っている国はなかなか我慢ができないようです。

 

第一次世界大戦においてドイツは無制限潜水艦戦で全く必要の無いアメリカの参戦を導き、日本の場合もアメリカ国民の8割が戦争に反対しているのにもかかわらず、真珠湾攻撃を行ってしまったからです。

 

アメリカとイランの戦争の可能性が一段と高まっているのは事実です。