このシリーズは、旧ソ連と現在の共産中国との比較にとどまらず、第一次世界大戦の東側における戦いと第2次世界大戦の極東での戦いが同じ意味を持つのではないかという趣旨で書いています。

 

この比較からは、もうそろそろ中国共産党も期限切れが近ずいていることが予想できるのですが、それ以上のかなりややこしい問題も提起できるのです。

 

ドイツが第一次世界大戦でロシアからウクライナを取り上げたブレスト・リトフスク条約のことを取り上げましたが、この条約についてアメリカの元国務長官であるヘンリー・キッシンジャーは『外交』で「ドイツとロシアのブレスト・リトフスク条約は、ドイツが敗者に対してどのような運命を考えているのか示している。」と批判しています。

 

ところが、冷戦が終了しソビエト連邦が崩壊した時に、なんとウクライナも独立を果たしてしまったのです。

 

ということはキッシンジャーが厳しく批判するブレスト・リトフスク条約ですが、ある種の先見性を含んでいたことになります。

 

もちろんウクライナの独立がロシアにとって嬉しいはずではなく、プーチンが現在ウクライナの東側にちょっかいを出しているのも不満の表れでしょう。

 

さて、ソビエト崩壊後にウクライナが独立してしまったことは、東アジアにどのような意味を持つのでしょうか?

 

私は、第一次世界大戦のドイツとロシアの戦いと第2次世界大戦の日本の中国の戦いの共通点は、ドイツがロシアの重要拠点であるウクライナと日本が中国の重要な意味を持つ満州を独立させたことにあると書きました。

 

共産中国が崩壊したら、チベット、ウイグル、台湾は独立するでしょうし、香港や内モンゴルも独立するかもしれません。

 

しかし、私がなによりも懸念するのは、ウクライナがロシアから独立したように、旧満州が中国より独立する可能性なのです。

 

終わり