私が第一次世界大戦と第2次世界大戦がもたらした結果が似ていると強く感じたのはイギリスの歴史家ドミニク・リーベン教授の『炎に向かって』という本を読んでからです。
リーベン教授はロシアの専門家であり、この本はロシアの視点から第一次世界大戦に至る経緯を解き明かしています。
教授によれば、第一次世界大戦において重要なことは西側での戦い(ドイツと英仏)ではなく、東側での戦い(ドイツとロシア)だといいます。
というのも「1900年までに帝国主義国が新たに獲得する土地がほとんど無くなっていたからだ」と書いています。
つまり英国やフランスといった植民地先進国と比べて後発のドイツ帝国が拡大するためには東ヨーロッパ方面に進出する道しか無く、これはどうしてもロシアの利害を犯すことになってしまうのです。
このことは戦前に首相を務めた近衛文麿がちょうど100年前に書いた「英米本位の平和主義を排す」という論文にも指摘しています。
「独りドイツとのみ言わず、全ての後進国は獲得すべき土地無く、膨張発展すべき余地を見出す能わざる状態にありしなり。かくのごとき状態は実に人類機会均等の原則にもとり、各国民の平等生存権を脅かすものにして正義人道に背反するのははなはだしきものなり。」
おそらく、これが第一次世界大戦と第2次世界大戦の本当の原因で、似たような結果が生まれる理由でしょう。
続く。