エドワード・ルトワック氏が書いた『日本 4.0』という本を読んだので、その感想を書いてみます。

 

ルトワックは日本は高度な戦略文化を持っていると記しています。

 

「これは この国の四百年の歴史を眺めてみればわかる 。日本人は つねにひとつの完全な戦略的システムを作り上げてきた 。しかも 、そのシステムが危機に直面するたびに 、新たに包括的なシステムに更新してきたのである 。これは世界でもあまり例を見ないことだ 。」

 

徳川家康が江戸幕府を作り、国内の内戦を徹底的に封じ込めたのが日本1.0。

 

黒船の到来で危機を感じ、日本国家の総合的な近代化を果たした日本2.0。

 

アメリカとの戦争に負けて、豊かさを求めた日本3.0。

 

しかし彼によれば現在の戦後体制は賞味期限が切れており、全く新しいシステムが必要になっているのではないかとの疑問を呈しています。

 

「それは 『同盟 』を有効に使いつつ 、目の前の危機にすばやく 、実践的に対応しうる自前のシステムである 。」

 

現在の日本の平和憲法体制においては、北朝鮮の核問題や中国との尖閣諸島の問題に有効な処方箋を書くことができないことが日本の問題点だとルトワックは感じているのです。

 

私は以前にこのブログでジョージ・フリードマンが書いた『日本の例外主義』という論文を翻訳してみました。

 

https://ameblo.jp/mintelligence/entry-12291124118.html

 

フリードマンも日本は対外的な環境が変化するにつれて国内の政治体制をガラリと変えてきたと書いており、黒船が来航した後の明治維新やアメリカとの戦争に負けた後の平和憲法体制などへの変化を指摘しています。

 

ルトワックとフリードマンの一番の違いは、ルトワックが日米同盟を組んだままで日本が新しいシステムに返還できると思っているみたいですが、フリードマンの方は、これまでの日本の変化はアメリカの行動がもたらしたもので、次のシステム変更もアメリカの行動によるものではないかと書いている点です。

 

「アメリカの利益が変化したり、日和ったり、また敵対的になれば日本は後悔しながらもその進路を変えるだろう。それは工業化以来の国家の統一性を保ったままの変化になるであろう。」

 

つまりルトワックの観点からすると現在の安倍総理が進める、日米同盟を維持したままで憲法の改正が成功するというイメージにつながるでしょうし、フリードマンの見方からすると、日本のシステム変更はアメリカの態度変化によるもので、彼は具体的にそれを書いていませんが、私はアメリカによる日米安保破棄ではないかと思っています。

 

私がルトワックの『日本4.0』でもっとも納得がいかないことは、この点で現在のアメリカとの同盟を組んでいる状態で本当に日本のシステムを根本的に変えれるのだろうかという疑問なのです。