近代に入ってからアメリカの中国に対する理想主義はこれまでに3回発動されています。
1回目は清朝に対する「門戸開放、領土保全」というスローガンに象徴されています。ところがタフト大統領が強引にドル外交を展開すると辛亥革命に至り、清朝は崩壊して軍閥が跋扈する中国になってしまったのです。
2回目は蒋介石の国民党に対してアメリカの理想主義は発動されました。フランクリン・ルーズベルトは中国をアジアの大国にすべく日本を叩き潰したのですが、肝心の国民党は共産党に内戦で負けて、共産党が支配する中国ができてしまいました。
そして3回目は冷戦終了後において本来ならソビエトと同じ一党独裁の中国に対してきつくあたらなければならなかったはずのアメリカはまたしても「一党独裁の中国に経済的に協力すればいずれ民主化するだろう」という理想主義が発動されたのでした。
ところが中国は独裁を強め、技術的にアメリカを凌駕しようと画策して、ここに至ってアメリカも中国の理想主義に幻滅し、大統領も議会も中国に対して圧力を加えるようになっています。
果たして中国共産党はこれらのアメリカの圧力を跳ね返し、アジアの大国としてこれからも君臨することができるのでしょうか?それとも中国共産党はいよいよ崩壊に向かうのでしょうか?
わたしの好きな言葉にアメリカの作家であるマーク・トウェインが言ったとされる「歴史は同じことは繰り返されないが、韻を踏む」というものがあります。
近代に入ってアメリカに対する中国の理想主義の歴史を振り返れば、「アメリカの中国に対する理想主義が破綻したときに中国の体制は転覆する」という韻を踏んでいるように思えてならないのです。