私がイランに興味を持ったのはもちろんイランの核開発が加速して、それがアメリカの利害と衝突した時でした。

 

多くのアメリカの新聞などで識者がイランの政治体制について「神権政治」や「専制」などと書いています。日本においても佐藤優氏などはそのような捉え方をしているようです。

 

そこで私もイランに関する本を読んだりして調べてみたのですが、いろいろ興味深いことがわかってきました。

 

イランにはアメリカの同盟国であるサウジアラビアとは違い、選挙で選ばれる議員から構成される議会が存在します。さらに、イランは大統領制なので大統領も選挙で選ばれます。

 

ただ誰でも大統領に立候補できるわけではなく、Guardian Council という機関によって選別され、これが民主的ではないと欧米から批判されています。

 

ただGuardian Council も半数は選挙で選ばれる議員で構成されているので、非民主主義的な機関とは言えないようです。

 

イランの政治制度で最大の問題点は、選挙で選ばれた大統領に軍隊の指揮権が存在しないことです。軍の指揮権は元首である宗教指導者が保有しているのです。

 

このようなイランの現在の政治体制をどこかで見た記憶はないでしょうか?

 

じつはイランの現在の政治体制は戦前の日本とそっくりなのです。

 

フランスのエマニュエル・トッドはイランに対して次のように書いています。

 

「シ ーア派は 、『イスラム版のプロテスタント』と言えます 。シ ーア派のイランは 、イスラム革命を成し遂げましたが 、あれも 『民主的な』宗教改革と見ることができます 。人類学的 ・文化的に見て 、イラン人は西洋人に近く 、国家建設の伝統をもっています 。ですから 、アングロサクソンの歴史のなかで育った人間ならば 、シ ーア派の方に親近感を覚えるはずなのです」

トッド 『問題は英国ではない、EUなのだ』

 

私もトッドが書かれていることに賛成です。

 

そのイランがアハマディネジャード大統領時代に核兵器開発を加速させます。それに怒ったアメリカが、これはオバマ大統領の時代ですが、猛烈な経済制裁をイランに課すのです。

 

これは戦前にアメリカから激しい経済制裁を受けていた大日本帝国の姿と重なって見え、果たしてアメリカとイランは戦争になってしまうのではと私は危惧したのでした。

 

続く。