前回トランプ大統領がイランとの核合意を破棄したことからトランプ大統領の求める外交とは経済制裁と軍事的圧力を利用して敵対国に対して「無条件降伏」を求めるものだと推測しました。

 

果たしてこのトランプ外交は成功するのでしょうか?

 

前回のブログにコメントをつけてくれた人が、戦前に日本がアメリカから厳しい経済制裁とハル・ノートという無条件降伏を突きつけられたことを指摘してくれましたが、全くその通りですとしか答えられません。

 

アメリカのフーバー元大統領の回顧録に駐日アメリカ大使のグルーの次のような言葉が書かれています。

 

「日本の政府がこのような前例のない提案(近衞ールーズベルト直接会談)を行った背景には経済的に日本の力が終わりに近づきつつあり、アメリカと戦える位置にはいないと思ったのかもしれない。

 反対にもし日本が経済的な大惨事に直面したとしても外国からの圧力に屈するよりもいやいやながら自国でそれに立ち向かうことは疑う余地のないことである。」

 

つまりトランプ大統領の「無条件降伏」外交は論理的にイランと北朝鮮との戦争を誘発する可能性が高いです。

 

さすがに超大国のアメリカであっても、イランと北朝鮮、両方と戦争することは荷が重いので、どちらかと言われれば現時点ではイランと戦争する確率の方が高いと思われます。

 

その理由は、ハーバード大学のスティーブン・ウォルト教授のブログにも書かれていたことですが、アメリカの同盟国であるサウジアラビアやイスラエルがイランに対する軍事行動に心からの賛意を表しているからです。

 

一方、アメリカの北朝鮮攻撃には周辺国のロシアや中国といった大国は反対でしょうし、韓国のムンジェイン政権はそうなったらアメリカとの同盟を破棄するかもしれません。

 

我が安倍首相がアメリカの北朝鮮攻撃に賛成するかは現時点では私にはわかりかねます。

 

このように考えれば、どうしてもアメリカとイランが戦争する可能性の方が大きいです。そうなった場合、イランはホルムズ海峡を封鎖したり敵対国であるサウジアラビアに攻撃を仕掛けたりすると思われるので、日本にとって他人事ではすみません。

 

日本はサウジアラビアから石油を購入し、ホルムズ海峡の向こうにあるバーレーンから天然ガスを購入しているのです。

 

安保法制が国会で議論されている時に、自衛隊のホルムズ海峡での掃海が持ち出されたことがありますが、その懸念が現実化しそうです。

 

さらにアメリカがイランと戦争になった場合、北朝鮮との戦争を避けるために今度は北に対して融和せざるを得なくなり、北朝鮮を核保有国として認める可能性も考えられます。

 

今回のトランプ大統領のイラン合意の破棄は日本にとって最悪な結果をもたらしかねません。