安倍政権の北朝鮮に対する外交目標は「北朝鮮の非核化」です。

 

そのために北に対しては最大限の経済的圧力をかけるとしていますが、中国がそれに協力するのかははっきりせず、その効果は限定的です。

 

果たして外交で本当に北の非核化は達成できるのでしょうか?

 

はっきり言って、それは不可能です。

 

ここで参考になるのがオバマ大統領がイランとの間で結んだ核合意の経過です。

 

私はつい最近、ウォールストリート・ジャーナルの記者であるジェイ・ソロモン氏が書いた “The Iran Wars” という本を読みました。

 

この本では米国のオバマ政権がいかにして核開発を続けるイランに対して経済的圧力をかけたのかを詳細に描いています。

 

オバマ大統領はイランに対して貿易決済であるドルの使用を金融機関を通じて禁止しました。その結果イランは物々交換で貿易を余儀なくされます。

 

さらにアメリカはイランの輸出品である石油を買っていた日本や韓国に対してイランの石油を買うことを禁止して友好国のサウジアラビアに増産させてそれに対処したのです。

 

この本の著者であるジェイ氏はアメリカがこのような行動を起こしたことは「ルーズベルト大統領が1940年代に日本に対して石油を全面的に禁輸したこと以来には存在しない」と書いています。

 

このアメリカの厳しい制裁でアメリカとイランが交渉するきっかけとなったわけですが、最初アメリカの強硬派はイランに対して核技術の軍事転用は当然としても、一切の民間における核技術の利用を認めるなと主張していたのです。

 

しかし交渉においてアメリカの強硬派の意見は通らずに、イランは核兵器を作る能力はかなり制限されることになりましたが、民生用は認められることになりました。

 

つまりイランとアメリカの交渉がそれなりにうまくいったのは、お互いに妥協したからなのです。

 

ここで北朝鮮の核問題に戻って見ましょう。

 

北はイランと違いすでに核実験を成功させています。ここで日本が北朝鮮の非核化を主張することは北朝鮮に無条件降伏を強いることで、それは戦争を覚悟しないと達成されないと思われます。

 

さらに、なぜ日本が北朝鮮の非核化を主張し続けることが可能であるのかは、一応現在のアメリカのトランプ政権が北朝鮮の非核化を日本と同様に求めているからです。

 

ただアメリカにこの問題で追随すれば大きな落とし穴が存在する可能性があります。

 

というのもあれだけ北の核問題でおとなしかったオバマ政権から急にトランプ政権で騒がしくなった理由は、北朝鮮がアメリカに届くミサイルの開発に成功しそうになっているからで、北朝鮮がアメリカに届くミサイルの開発を断念すれば、アメリカと北朝鮮との話し合いがうまくいく可能性もあるのです。

 

つまり安倍政権が北朝鮮の非核化を主張すれば、それはアメリカと一緒になって北朝鮮との戦争になるか、アメリカと北朝鮮との話し合いが成功して日本がアメリカに見捨てられるという、どつらにとっても日本には悲惨な結果しか待っていないような気がするのです。

 

本当にこれでいいのでしょうか?