中国と北朝鮮の複雑な関係を考察するにおいて参考になるのが中国とヴェトナムの関係です。

 

なぜなら朝鮮半島もヴェトナムも中国と国境を接しており、そこには人口規模的には小国とは言えない国家が存在し、似たような地政学的な環境にあるからです。

 

ヴェトナムと中国の関係で日本に流れて来るニュースは中国とヴェトナムが互いに領有権を主張する南沙諸島において中国が拡張主義的な動きを見せるもヴェトナムは勇敢に中国に対抗しているというナラティブで大抵語られています。

 

日本の安倍政権も中国に対抗するヴェトナムという文脈でヴェトナムに艦船を援助することを決めています。

 

しかしながら、日本はヴェトナムを中国に対抗する側面だけで見ていていいのでしょうか?

 

本当にヴェトナムと中国が敵対的な関係だけなら、なぜヴェトナムは中国と同じように今だに共産党の一党独裁を維持しているのでしょうか?

 

つい最近この疑問に答えてくれる記事をJBpressというところで見つけました。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49418

 

この記事を書いた川島博之さんは次のように記しています。

 

「そこがポイントだよ。チョンは米国と仲が良かったグエン・タン・ズン前首相を政権から追い出したかったのさ。ズンはやり手で、この国の経済を発展させた。その手腕は見事だったよ。まあ、汚職も派手にやったから嫌う人も多いけど、1人当たりのGDPが2000ドルを超える水準にまでになったのは、彼のおかげと言っていい」

「経済成長をリードしてきた彼がなぜ失脚したのですか?」

「やり過ぎだよ。ズンは政府の力を強めて共産党の力を弱めた。“政高党低“てやつさ。そこに共産党が脅威を感じた。それにズンは米国と仲よくし過ぎた。この前、オバマ米大統領がベトナムを訪問した時に、庶民がよく行く食堂で”ブンチャ“と言うベトナム料理を食べた。その店ではオバマが注文した料理を”オバマ・セット“なんて言って、売りだしている。大人気だそうだ。」

 

この記事によればベトナムの共産党トップのグエン・フー・チョン書記が米国寄りの政策をとっていたグエン・タン・ズン首相を失脚させたことと、チョン書記はベトナム一般庶民からは中国に寄り添っていると見られていることが確認できます。

 

ヴェトナムが共産党の一党独裁を維持するために決して中国から離れられないという現実は北朝鮮と同じように歴史的に確認できます。

 

私が以前読んだスウェーデン系アメリカ人のFredrik Logevall の『戦争の残り火』はホーチミンがフランスの植民地からの独立を果たす歴史書ですが、フランスとの勝利を決定づけるディエンビエンフーの戦いにおいて中国の毛沢東は軍の参謀をヴェトナムに派遣していました。

 

次に起こったアメリカとの戦いでもあるヴェトナム戦争においても中国はヴェトナムに協力しています。

 

だから一見ヴェトナムと中国は領土的に対抗する形となっても共産党独裁の維持という点から見れば両者は未だに一致しているのです。

 

中国の毛沢東は自国の安全のために中国と国境を接するヴェトナムと北朝鮮という国家に同じような体制で支配させ維持してきました。そしてそれが現在まで続いているのです。

 

しかし、中国で共産党の一党独裁が無くなったら、果たしてヴェトナムや北朝鮮はその独裁を維持できるでしょうか?

 

私は維持できないと思っています。

 

だからアメリカや日本はアジアから共産党の独裁を追放しようと考えるなら目標は中国であり決して北朝鮮を爆撃しても問題は解決しないのです。