フランスの知識人エマニュエル・トッドは『問題は英国ではないEUなのだ』という本で、「中産階級こそが歴史の鍵を握っている」と書き、次のような例を挙げています。
「ナチズムは中産階級の現象でした 。フランス革命も同様です 。日本の明治維新も中産階級に主導されたものだったはずです 。上級武士ではなく 、下級武士という中間層が中心的役割を担ったわけですから 。」
このトッドの「中産階級」が歴史を決めるという説を現代の国際政治に当てはめればどうなるでしょうか。
ニューヨーク・タイムズに「最近のギャロップ社の世論調査によればトランプ候補の支持者は平均以上の所得を持ち、白人が多数派を占める地域に住み、自分の子供たちが親の世代よりも生活水準が悪化するだろうと思っている。」と書いてありました。
トランプ候補の支持者は白人の低所得層に多いと言われていたのですが、いつの間にか白人の中間層にまで支持を伸ばしているのです。
トランプはもう終わったと言われてもなかなかしぶといのはこのような理由があるからなのでしょう。
そしてもう一つの例。
最近、福島香織さんが書かれた『中国が滅びる日』という本を読んだのですが、習近平の行う政治に対して私には絶望感しか湧いてきませんでした。
しかしながら、最後に少しだけ希望が持てる文章があったので引用してみます。
「そもそも、中国人はけっして日本が嫌いではないと思っている。というより本当は日本が大好きな人が結構多い。13億人という人口を母数に考えると、日本のことに興味を持ち、日本が好きであろう知的な都市生活者の割合は決して多数派ではないとしても、おそらく全体数は日本の人口を上回るだろう。いわゆる中間層の上層に当たる人口だ。」
もし中国でトッドの指摘するような「中間層が歴史を決める」という現象が起これば、良好な日中関係が生まれてくるのかもしれません。
「中間層」にしぼって国際政治を眺めると現実とは一味違った見方ができるのではないでしょうか。
