イギリスの歴史家ドミニク・リーベン教授が書いたTowards The Flame という本を読みました。
この本はロシアにおける多種多様な文書を用いてなぜロシアが日露戦争の敗北から10年も経っていないのに第一次大戦に突入していったのかを詳しく分析しています。
大まかなあらすじは次のようなものです。
ニコライ2世を筆頭にロシアのエリートは国内で革命の足音が聞こえていることを十分に認識しており、またドイツ軍と戦って勝てるとも思っていませんでした。
そして一部の先見の明がある人はロシアが第一次大戦に突入したら、ロシアのロマノフ王朝が転覆させられることも予想していたのです。
それでもリーベン教授によれば「ロシアは安全保障と利益と自己確認のために参戦した」と書かれています。
そして戦争の結果、ロシアは全く幸せではない結果を招くのです。
第一次大戦でロシアは200万人の犠牲者を出しますが、国内で革命が起こり一体何の目的で戦ったかわからなくなります。
さらにスターリンという「大量殺人者」の登場でロシアの国民は悲惨な目にあうのです。
その上、ヒトラーと戦うことになり、2000万の犠牲者を出すことになりました。
ロシアにとって第一次大戦の結果は、あまりにも影響が大きいものだったのです。
私はこのリーベン教授が書いたロシアから見た第一次大戦の本を読んで、ふと頭によぎったのが中国の蒋介石のことでした。
日中戦争が始まる前、蒋介石もニコライ2世と同じように、国内に革命が迫っていることを認識しており、日本軍がそんなに弱くないことも知っていたはずでした。
それでも蒋介石は「中国の安全保障と利益と自己確認」のために日本と戦うことを決めたのです。
しかし、蒋介石の場合も帝政ロシアと全く同じような結果を招きます。
日本の大陸痛打作戦(一号作戦)などで損害を受けた国民党軍は第2次大戦後の共産党との戦争で負けてしまい、政権を放棄することになります。
さらに政権をとった毛沢東は大躍進政策や文化大革命を起こして、スターリンと同じような「大量殺人」を行うのです。
リーベン教授はこの本で幾度も第一次大戦の肝は「東ヨーロッパ」で起こった出来事だと強調していますが、第一次大戦の東側で起こった出来事は本当に日本と中国との戦争に酷似しているのです。
リーベン教授は「平和な時であれば、ドイツはロシアで共産革命が起こることを許さなかっただろう。しかし戦争という文脈ではベルリンはどんな手を使ってもロシアを崩壊させようとした」と面白い指摘をしています。
確かに日本の場合でも平時において中国で共産革命を許したとは思えませんが、戦時においては日本の軍部が「蒋介石政権を一地方政権にする」と吠えたように、それがもたらす結果を全然考慮できなかったのです。
続く
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この本はロシアにおける多種多様な文書を用いてなぜロシアが日露戦争の敗北から10年も経っていないのに第一次大戦に突入していったのかを詳しく分析しています。
大まかなあらすじは次のようなものです。
ニコライ2世を筆頭にロシアのエリートは国内で革命の足音が聞こえていることを十分に認識しており、またドイツ軍と戦って勝てるとも思っていませんでした。
そして一部の先見の明がある人はロシアが第一次大戦に突入したら、ロシアのロマノフ王朝が転覆させられることも予想していたのです。
それでもリーベン教授によれば「ロシアは安全保障と利益と自己確認のために参戦した」と書かれています。
そして戦争の結果、ロシアは全く幸せではない結果を招くのです。
第一次大戦でロシアは200万人の犠牲者を出しますが、国内で革命が起こり一体何の目的で戦ったかわからなくなります。
さらにスターリンという「大量殺人者」の登場でロシアの国民は悲惨な目にあうのです。
その上、ヒトラーと戦うことになり、2000万の犠牲者を出すことになりました。
ロシアにとって第一次大戦の結果は、あまりにも影響が大きいものだったのです。
私はこのリーベン教授が書いたロシアから見た第一次大戦の本を読んで、ふと頭によぎったのが中国の蒋介石のことでした。
日中戦争が始まる前、蒋介石もニコライ2世と同じように、国内に革命が迫っていることを認識しており、日本軍がそんなに弱くないことも知っていたはずでした。
それでも蒋介石は「中国の安全保障と利益と自己確認」のために日本と戦うことを決めたのです。
しかし、蒋介石の場合も帝政ロシアと全く同じような結果を招きます。
日本の大陸痛打作戦(一号作戦)などで損害を受けた国民党軍は第2次大戦後の共産党との戦争で負けてしまい、政権を放棄することになります。
さらに政権をとった毛沢東は大躍進政策や文化大革命を起こして、スターリンと同じような「大量殺人」を行うのです。
リーベン教授はこの本で幾度も第一次大戦の肝は「東ヨーロッパ」で起こった出来事だと強調していますが、第一次大戦の東側で起こった出来事は本当に日本と中国との戦争に酷似しているのです。
リーベン教授は「平和な時であれば、ドイツはロシアで共産革命が起こることを許さなかっただろう。しかし戦争という文脈ではベルリンはどんな手を使ってもロシアを崩壊させようとした」と面白い指摘をしています。
確かに日本の場合でも平時において中国で共産革命を許したとは思えませんが、戦時においては日本の軍部が「蒋介石政権を一地方政権にする」と吠えたように、それがもたらす結果を全然考慮できなかったのです。
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