春名さんは『仮面の日米同盟』の中でアメリカの外交戦略を次のように指摘しています。

「アメリカ側の基本路線には 、米軍を日本から撤退させる選択肢はない 。平時は基地を空にして 、有事にだけ駐留するという 『有事駐留 』も選択肢にない 。だから 、有事駐留論が出ると 、正面から相手にすることを避けて 、そんな動きをつぶし 、論議の拡大を抑えた 。」

確かに現在のアメリカの方針としてはこの意見は間違っていないのかもしれません。

ただこの状態が本当にこれからも永遠に続く可能性はあるのでしょうか。

ここで最近アメリカで勢いを見せている共和党の大統領候補の「トランプ」現象を少し考えてみます。

トランプ氏の主要な論点はアメリカの国内問題にあって、外交問題にはありません。

例えばアメリカに不法に移民してくるメキシコ人に対して彼は「強姦魔」などという暴言を吐きましたが、それに対処する方法としてはアメリカとメキシコの国境沿いにフェンスを作るというものでした。

またムスリム過激派などの対処方法として彼は「イスラム教徒のアメリカ入国を禁止する」という方法で、過激ですがあくまでもアメリカの国内での対処の仕方が主要な論点なのです。

外交問題において彼はアメリカと韓国の同盟においてアメリカの不満を述べていましたし、イラク戦争を行ったアメリカの指導者については「無能」という言葉を連発しているのです。

このようにトランプ現象というのは共和党内におけるアメリカの「孤立主義」が歪んだ形で現れた姿であり、他の共和党の大統領候補たちもトランプ氏を支持する選挙民を意識してか、直接的な批判はできない状態になっているのです。

もちろんトランプ氏が次の大統領になるとは私も思っていませんが、グローバリゼーションに伴う貧富の格差やアメリカ帝国維持のための戦争を継続することに対しての不満はこれからも確実に増えるでしょう。

それらの選挙民の切実な声をアメリカの指導者が取り上げる時、アメリカ軍の日本や世界からの撤退は全くありえないのでしょうか。