現在石油1バレル当りの価格は58ドルで、最安値からは少し上がったものの未だに低価格で推移しています。

なぜ石油の値段がこのように安くなったかについて、佐々木良昭さんは『結局、世界は石油で動いている』という本の中でアメリカとサウジアラビアが結託しているからだと書いています。

「ロシアのプーチン大統領が『アメリカとサウジアラビアが共謀して原油価格を押し下げている可能性がある』と名指しで批判した通り、アメリカによるロシア潰しであり、その策略にサウジアラビアが加担したと見るのが、状況的に正鵠を得ていると思われる。」

私もこの見方が一番納得できます。

アメリカはロシアのプーチン大統領がクリミア半島を併合したり、ウクライナにちょっかいを出すのを不満に思っていました。

一方で、イスラム教スンニ派のサウジアラビアはアメリカがシーア派のイランと核問題で合意したことを不満に思っていたのです。

そこで、アメリカはロシアを狙い、サウジアラビアはイランを標的にする戦略的な同盟が発動されたものと思われます。

この原油価格に決定的に影響を及ぼすことのできるアメリカとサウジアラビアとの関係についてマリン・カツサというアナリストが書いた『コールダー・ウォー』という本の中で興味深いことを指摘しています。

アメリカはニクソン大統領の時代にドルと金とのつながりを断ち切ります。本来ならこの時点でアメリカのドルが圧倒的な基軸通貨としての役割を放棄してもおかしくはなかったのですが、そうはなりませんでした。

実はこの時にキッシンジャーがサウジアラビアに飛び、ある約束をしたとカツサは書いています。

それはアメリカがサウジアラビアを守る代わりに、サウジアラビアは石油をドル建てでしか売らないことと石油販売で得た利益をアメリカの国債に投資するというものでした。

これが「ペトロ・ダラー」と呼ばれるものです。

カツサによればこの「ペトロ・ダラー」体制に逆らおうとしたものは命を失ったと書いています。

サダム・フセインが経済制裁を受けていた時にイラクにおいて乳幼児の死亡率が異常に高くなったことがありました。そこで経済制裁を緩和することが行われたのですが、その時にフセインは石油の代金をユーロで受け取ることを行ったそうです。

また佐々木氏の本の中でも産油国であるリビアのカダフィー大佐が「アフリカの共通通貨を作る用意がある」と言っていたそうです。

フセインもカダフィーも今はもういません。

彼らが殺されたことが本当に「ペトロ・ダラー」体制に逆らった為だったのかを確かめることは不可能ですが、現在の石油の値段が安いことについてアメリカとサウジアラビアが関係していることについては間違いないでしょう。

ただ、アメリカとサウジアラビアの関係はこれからも安定的に継続できるのでしょうか。次回はそれについて書いてみます。
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