『産経新聞』に東京大学名誉教授・平川祐弘さんが「戦勝国の歴史解釈に異議はないか」という文章を書かれていたので、それを読んだ感想を書いてみたいと思います。
このエッセイの最後の方で平川さんは「軍国日本の失策を認めた上で、なおかつ、戦勝国側の歴史解釈に異議あることをきちんと説得してこそ、政治家や学者の責務だと私は思う。」と書かれています。
このことについては私も賛成ですが、では日本の失敗とはなんだったのでしょうか。
私は中国から撤兵することができなかったことにあると考えています。このことについてはかなりの責任が東条英機にあります。
近衛内閣の末期に近衛首相が東条を説得するのですが、彼は頑として首を縦に振りませんでした。そのことが彼の内閣が瓦解する一因になったのです。
ただこの問題は東条個人の問題にできないことも事実で、フーバー大統領が回顧録に「日本には他の立憲君主国には無い独特な制度があった」と書いているように、首相が陸軍や海軍に対して指揮することができないという明治憲法に重大な欠陥があったのです。
ところで、キッシンジャーは『外交』という本の中で昭和12年から始まった日中戦争について一方的に日本が悪いというふうに書いてありますが、これはどう考えても納得がいきません。
なぜなら上海において少数の海軍の陸戦隊に襲いかかって戦争を拡大させたのは蒋介石政権の方だからです。
日中戦争が一方的に日本の責任だというのは私には納得できませんが、短期戦に持ち込めなかったことで日本の勝機は無くなりました。だから将来の日中関係や日米関係のためにも中国から撤兵することは絶対に必要だったのです。
平川さんはこのエッセイの最後で、フランクリン・ルーズベルト大統領について次のように書いておられます。
「なお一言書き添えると、黄色人種の日本に先に手を出させることで、米国民を怒らせて米国を参戦させ、連合国を勝利に導いたルーズベルトは悪辣(あくらつ)だが偉大な大統領であったというのが私の歴史認識だ。ユダヤ人の絶滅を企(たくら)んだナチス・ドイツを破るためには米国の参戦は不可欠だったからである。」
この文章を読む限りルーズベルト大統領はユダヤ人を救うために欧州に参戦したと読めるのですが、これは本当でしょうか。
ドイツの歴史家セバスチャン・ハフナーが書いた『ヒトラーとは何か』という本があります。
この本でヒトラーが「ユダヤ人問題の最終処理」という指令を出したのは1942年1月であったと書かれています。
つまりヒトラーがユダヤ人のホロコーストを始めたのは、日本の真珠湾攻撃の後にヒトラーがアメリカに宣戦布告をした後のことなのです。
このことについてハフナーは、ソ連軍の反抗とアメリカに対する宣戦布告によってドイツがこの戦争に勝つことが不可能になった時点からユダヤ人の絶滅政策を実行したと書いています。
アメリカとドイツが戦争をするまではヒトラーはユダヤ人のホロコーストを実行していなかったのです。だから平川さんの書き方は私には少し物事を単純化しすぎのような気がします。
このエッセイの最後の方で平川さんは「軍国日本の失策を認めた上で、なおかつ、戦勝国側の歴史解釈に異議あることをきちんと説得してこそ、政治家や学者の責務だと私は思う。」と書かれています。
このことについては私も賛成ですが、では日本の失敗とはなんだったのでしょうか。
私は中国から撤兵することができなかったことにあると考えています。このことについてはかなりの責任が東条英機にあります。
近衛内閣の末期に近衛首相が東条を説得するのですが、彼は頑として首を縦に振りませんでした。そのことが彼の内閣が瓦解する一因になったのです。
ただこの問題は東条個人の問題にできないことも事実で、フーバー大統領が回顧録に「日本には他の立憲君主国には無い独特な制度があった」と書いているように、首相が陸軍や海軍に対して指揮することができないという明治憲法に重大な欠陥があったのです。
ところで、キッシンジャーは『外交』という本の中で昭和12年から始まった日中戦争について一方的に日本が悪いというふうに書いてありますが、これはどう考えても納得がいきません。
なぜなら上海において少数の海軍の陸戦隊に襲いかかって戦争を拡大させたのは蒋介石政権の方だからです。
日中戦争が一方的に日本の責任だというのは私には納得できませんが、短期戦に持ち込めなかったことで日本の勝機は無くなりました。だから将来の日中関係や日米関係のためにも中国から撤兵することは絶対に必要だったのです。
平川さんはこのエッセイの最後で、フランクリン・ルーズベルト大統領について次のように書いておられます。
「なお一言書き添えると、黄色人種の日本に先に手を出させることで、米国民を怒らせて米国を参戦させ、連合国を勝利に導いたルーズベルトは悪辣(あくらつ)だが偉大な大統領であったというのが私の歴史認識だ。ユダヤ人の絶滅を企(たくら)んだナチス・ドイツを破るためには米国の参戦は不可欠だったからである。」
この文章を読む限りルーズベルト大統領はユダヤ人を救うために欧州に参戦したと読めるのですが、これは本当でしょうか。
ドイツの歴史家セバスチャン・ハフナーが書いた『ヒトラーとは何か』という本があります。
この本でヒトラーが「ユダヤ人問題の最終処理」という指令を出したのは1942年1月であったと書かれています。
つまりヒトラーがユダヤ人のホロコーストを始めたのは、日本の真珠湾攻撃の後にヒトラーがアメリカに宣戦布告をした後のことなのです。
このことについてハフナーは、ソ連軍の反抗とアメリカに対する宣戦布告によってドイツがこの戦争に勝つことが不可能になった時点からユダヤ人の絶滅政策を実行したと書いています。
アメリカとドイツが戦争をするまではヒトラーはユダヤ人のホロコーストを実行していなかったのです。だから平川さんの書き方は私には少し物事を単純化しすぎのような気がします。
