イスラエルのネタニヤフ首相がアメリカ議会で演説したのを聞きました。

最初の方でオバマ大統領の顔を立てるような発言はしていましたが、実際はイランはナチスやISISと同じであり、一切の妥協はまかりならんとかなり強硬な発言を展開しておりました。

この演説についてはやはりアメリカの識者の間でもそんなに評判が高くはなく、トーマス・フリードマンやファリード・ザカリアが書いているようにネタニヤフ首相には「対案が無い」ことが問題だと指摘しています。

しかし、ネタニヤフ首相の目的はイランの核問題について対案を出すことではなくイランを叩き潰すことなのです。

そのためにはオバマ大統領に反対する共和党議員と共闘してアメリカの「分裂」を促進することの方が遥かに大切だったのです。

ネタニヤフ首相の演説を聞いた『スレート』のフレッド・カプラン記者が議会の光景について次のように書いています。

「たくさんの議員がネタニヤフ首相の発言を神のお告げのように喝采を贈ることはぞっとする光景である。特にイスラエルの安全保障関係者がイランの核の危険性についていろいろな論争があることを知らないでそのような喝采をおくっていること、またネタニヤフ首相が国民から嫌われていることについて無知なことも同様である。そして議員達がイランとの合意を「悪い取引」と非難すること(彼らは立ち上がり、狂ったように拍手し、カメラや観衆にむかって吠える)は自分達の大統領や外交官達にイランとの取引の機会を与えないという意味でも信じられないことである。」

イスラエルではすぐに選挙が始まります。

カプランのいうようにネタニヤフ首相の人気には陰りが出ていることは確かですが、アメリカの議員達が彼の演説にあのような喝采をおくったことを見て、彼に罰を与える行動をとるのかは疑問です。

ネタニヤフ首相は今回の演説でアメリカでの人気を実証するとともにオバマ大統領と議会の距離を確かなものとしました。

どう考えても私には、Mission accomplished したとしか評価できません。