金玉均という若手の官僚が中心となって、日本のような近代国家を作ろうと朝鮮において1884年にクーデターを起こします。甲申事変と呼ばれるものです。

今回私は渡辺惣樹さんが書かれた『朝鮮開国と日清戦争』を再読して気付いた点を書いてみたいと思います。

この革命の目的は「両班貴族の専制を排除し、財政安定、社会政策、官紀の粛清、内政の簡素化、警察の革新」を目指すという大変まともなものでした。

渡辺さんは韓国人学者と思われる人の本から次のような文章を引用されています。

「当時の国民がみなこの政策を理解し、そのまま実践していたら、韓国の近代史は変わっていたであろう。」

結局このクーデターは中国(清)の軍事的な介入もあって大失敗してしまうのですが、やはり一般国民からの支持が無かったことが致命的でした。

宮廷を出てくるアメリカ公使館員が見たものは、「日本を嫌う民衆の不穏な動きであった。リーダーもなく計画も持たない群衆が宮廷周辺に押しかけていた。日没近くなるとその数はさらに増えた。」

「市内の朝鮮人は日清の戦いの始まるのを見て興奮した。日本人の経営する店を襲い見つけた日本人の身体を切り刻んだ。アメリカ公使館に逃げ込むことができた日本人およそ20名は幸運だった。」

これらの文章から判断できることは、当時の朝鮮の民衆の間でも「反日」が浸透しており、いくらクーデターの求める政策が合理的であろうと朝鮮の一般民衆の判断基準はそこにはなかったのです。

「反日」で自分の進路の選択肢を狭めてしまうことは現在の韓国でも継続中です。