この正月にテリー・ヘイズが書いたI Am Pilgrimというスパイ小説を読みました。結構面白かったです。

この小説でサラセンというサウジアラビア出身のテロリストが出てくるのですが、彼は幼少の時に海洋学者の父親が体制を批判したために公開で首を切られ処刑されてしまいます。

その結果サラセンの残りの家族はサウジを出て行かざるを得なくなり、サラセンも父親を殺したサウジの体制に復讐を誓い過激なイスラム教にのめりこんでいくのです。

しかしこの抑圧的なサウジの体制はアメリカが同盟国としてバックアップしており容易に倒すことはできません。そこでサラセンはアメリカに対してテロを画策していくのです。

この小説の良いところはテロリストのサラセンを非人間的に描いていないところで、彼のような境遇になればテロリストになっても仕方がないと全てではないですがかなり共感できる部分があるのです。

さて本題です。

もちろんこの本はフィクションなのでどこまで事実を書いているかはわかりませんが、ネットで調べてみるとサウジアラビアにおける公開で首を刎ねる処刑は現在も行われているようです。

私はこのようなことが現在も行われていることを知りませんでした。

振り返って考えてみるとアメリカのメディアではイランの悪口は散々目にすることはありますが、それよりももっと抑圧的なサウジアラビアの内情に触れる機会は少ないのです。

スティーブン・キンザーというアメリカの評論家が中東において安定した民主化を達成できるのはイランのほうでサウジアラビアからは徐々に離れていくべきだということを書いていましたが、私もそう思います。

アメリカは口では「民主主義」や「人権」を語りますが、それが一番実態からかけ離れているのが中東政策なのです。

果たしてこのような矛盾は平和的に解決できるものなのでしょうか。

2015年も中東の動向から目が離せません。