久しぶりに西尾幹二さんの本を読みました。途中から話が散漫になって一気に読むというわけにはいきませんでしたが、所々に文学者らしい鋭い捉え方があって面白かったです。

今回は私が鋭いと思ったところを引用してみます。まずは現場認識について西尾さんはこう書いています。

「他国の力で経済的に有頂天になった中国の『没落への秒読み』と黄昏の帝国アメリカの『逃げ腰のポーズ』。我々が目撃しているのは両陣営相打ちのそのようなシーンではないだろうか」

私は、このような捉え方は現状を正確に認識しているように思われます。

ただ、ここでの問題は中国とアメリカがどちらが先に転ぶかで、日本に及ぼす影響が全然違うのです。

もし先に中国が転べば、「中国が民主化されれば、結果として日本の防衛は実現されるのである」と西尾さんが書くように、その後に日本がアメリカに捨てられてもさほど困ることはないのです。

ところが中国より先にアメリカが転んで日本がアメリカに捨てられるようなことがあれば、日本は中国の軍拡をまともに相手にしなくてはならないのです。

現在のところは中国が先に転がってくれるのを祈るしかありません。

またアメリカに対して西尾さんは次のようなことを書いています。

「私はアメリカに日本を失って欲しいと思っている。そのときが、我が国の独立のチャンスであるし、そこまでこないと、この国は独立できないのだから」

私はこれまで何度かこのブログでアメリカが日米安保を破棄することで日本の憲法改正が可能になることを書いてきましたが、西尾さんの文学的表現ではこうなります。

こちらの方もそんなに先にはならないかもしれません。

私の計算では最短で、オバマ大統領の残りの任期2年+ヒラリー・クリントン一期4年=6年で政権交代した共和党が同盟国を処分しそうな気がします。

少し脱線しましたが日本の将来が心配な人は西尾さんの「アメリカと中国はどう日本を『侵略』するのか」を読んでみてください。