面白い記事を見つけました。

この記事によればベルギーでのG7サミットで安部総理がクリミア問題でロシアを追い詰め過ぎるとロシアが中国に接近する懸念があると指摘したそうです。

するとドイツのメルケル首相が、「ミスター・アベの指摘された通りです。われわれにはアジアの視点が欠落していました。と同時に、この場でロシアと中国の急接近は好ましくないということを確認すべきだ」と述べたという。

この記事の作者はメルケル発言を安部首相に対する「ヨイショ」と書いていますが、本当にそれだけでしょうか。

よく言われることは、大陸の欧州諸国は石油や天然ガスをロシアに依存しており、クリミア問題でそんなに強い立場に出られないというものです。

さらにドイツにはロシアに対する独特の地政学的立場があります。

フランスの評論家、エマニュエル・トッドが「ドイツ人はかつてのビスマルクのようにロシアとの同盟が必要だという考えと、根深い反ロシア的な考えで揺れ動いている。」と記しています。

つまりドイツのメルケル首相はクリミア問題でロシアを追い詰めたくなかったのですが、それをあからさまに語ってしまうとアメリカのオバマ大統領の立場を傷つけることになります。

そこで安部首相が持ち出した「中露接近」の危険性に大義を見出したのです。

G7サミットの場で日独がロシアを巡ってアメリカに意義を唱えるという珍しい光景をみて私が思ったことは日独伊の3国同盟のことです。

このブログで何回か書いたことですが、近衛内閣の時にできた三国同盟は実はそこにソ連を加えて4カ国同盟に発展させるつもりだったのです。

鳥居民さんの『昭和20年』の第一巻に昭和14年に近衛文麿が『事変を迅速且つ有利に終息せしむべき方余』という意見書を読む場面があります。

事変は日中戦争のことです。

この文書の結論部分には「日ソ独伊の連盟が成り立てば世界は挙げて驚愕するに相違無いが、特に英国と蒋政権は狼狽、度を失するであろうこと見るが如しである・・・日ソ独伊の連盟は事変解決に最後の決定力を有す」と書かれてあります。

つまり近衛が日独伊ソの同盟でやりたかった最大のことはソ連を取り込むことによって日中戦争を解決したいという願望でした。

日独が協力してロシアを取り込み中国を牽制するという今回のサミットでの出来事は今から70年前に近衛が望み果たせなかったことなのです。

今回はどうなるでしょう。