久しぶりの更新です。今月号の『ヴォイス』にフランスの知識人エマニュエル・トッドの対談が載っていました。気になるところを抜粋してみます。

・出生率は1.7まで上昇しています。ロシアは再び国際社会の主役になっている。

・ドイツ人はかつてのビスマルクのようにロシアとの同盟が必要だという考えと、根深い反ロシア的な考えで揺れ動いている。

・フランスがユーロを望んだのは統一ドイツを縛るためでしたが、実際に起こったことは何か。ドイツによるEUの経済システムの完全な支配です。

・私が待っているのは、われわれをユーロから脱却させてくれる歴史的なアクシデントです。

・現在の中国はプレ・クライシス・ステートです。(危機が起こる前の状態)

・中国のGDPにしめる投資の割合が40ー50%までに及ぶ。これはスターリン主義を彷彿とさせます。

・アメリカはオバマの再選後、一種の回復途上にあるという感じは抱いています。

・日本文化は一流の文化として定評があります。ドイツよりも日本の方が好きだという人がますます増えるでしょう。

・中韓の反日感情が強いなか、日本の首相は靖国神社に参拝しない方が懸命です。と同時に日本はアメリカへの依存を減らすために軍事力を強化すべきです。

・日本文化の中で靖国神社が意味を持つことは一つの事実です。しかし外国人がそのことを理解するのを期待してはならない、というのも事実でしょう

・中国のエリートはナショナリズムと反日感情を国内政治の安定に利用しています。

・韓国は歴史や国益の観点から中国と多くの共通点があり、それゆえ中国の術策にはまってしまうのです。

・日本はいま外交的に孤立しており、いささか危険な状況です。

・日本とロシアとのあいだに合意が出来れば、日本が感情ではなく、プラグマチックな動きを重んじるようになったことを示す歴史的な出来事になります

・教育費用を無料にするといった戦略的な社会政策を実行しない限り、少子化問題は解決しません

以上です。彼が書いた『帝国以後』と比較すると、アメリカに対する評価が高まり、ヨーロッパに対する絶望がみてとれます。また彼の東アジアに対する見方も鋭いものがあります。