スタンフォード大学のダニエル スナイダー氏が安部総理の靖国参拝について語っています。アメリカのリベラル派がどう考えているかがわかって大変興味深かったです。

私が重要な部分と思ったところを抜き出しておきます。
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「日本にとって最も重要なことは、米国がその道を進もうとしていないということだ。米国は関与と備えの方針を実践している。そして日米両国にとって、関与と備えは中国に関与し、同盟システムを持つ必要があるということを意味する。そして、備えとして最も重要なのが日米安全保障条約なのだ。米国は、非協力的な中国に対する備えとして日本に前方展開兵力を配置したいと考えており、独自の防衛と地域的な安全保障における日本の役割の高まりと、ロジックを伴った拡張を支持している。しかし、日本の政策が不必要に中国との緊張関係を高める恐れがあれば、米国はこれを支持しない。また、米国が日本の軍事安全保障の備えの役割を果たすことを想定しながら、中国に関与しようとした場合も同様に米国は日本を支持しないと言えるだろう。そのようなアプローチはうまくいかないのだ。」


「だからこそ、オバマ政権は靖国参拝の直後に批判の声明を発表した。米国当局は、米国が安倍首相の行動を事実上承認していないということをはっきりさせたかったのだ。タイミングはかなり微妙だった。オバマ政権は、まさに翌日に発表されることとなる沖縄普天間問題のいわば交換条件として、靖国参拝を暗に認めるものではないとはっきりさせたかった。オバマ政権がどうしても避けたかったのは、沖縄で思い通りにことを進めてもらう代わりに、歴史問題を見逃しているように見られてしまうことだった。韓国メディアでは、そのような約束がなされているという推測があった。オバマ政権は、そのような印象を一掃した。こうした事情から、同盟国の決定に対して批判の声明を発表するという異例の事態となったのだ」

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つまり、オバマ政権は何よりも極東地域でこれ以上緊張が高まることを恐れており、安部首相の靖国参拝は安定を損なうのでアメリカは「失望した」と表明し、リベラル派のスナイダー氏もそれに賛成しているようなのです。

しかし、私はスナイダー氏のようなリベラル派の態度にかなりの疑念を抱いています。というのもオバマ政権が衝突したのは安部首相だけではありませんでした。一番エグかったのはオバマ大統領の鳩山政権に対する態度でした。

鳩山首相は河野談話や村山談話を大変尊重していましたし、もちろん任期中に靖国参拝は行いませんでした。また中国に対してもシュナイダー氏が批判するような「冷戦」的な態度をとるようなことはなく、逆にアジア共同体を唱える程融和的でした。本人も自分の任期中に中国との衝突がなかったことを現在でも自慢しています。

アメリカのリベラル派にとって鳩山首相の戦後認識や中国・韓国に対する態度は理想的だったでしょう。

しかし、オバマ政権はワシントン・ポストに「ルーピー」だとリークしたりして、冷たく突き放したのでした。

なぜオバマ政権が極東地域で何の緊張感ももたらしていない総理を「ルーピー」として扱ったのは、米軍基地の移転問題にあったのは間違いありません。一旦決めたものを政権が変わったことを理由に反故にすることを許せなかったのです。

先日終わった辺野古の市長選挙で反対派の市長が当選しました。安部総理側は知事の許可を得たことでそのまま突っ走るようですが、アメリカのリベラル派はどう考えているのでしょうか。

スナイダー氏も「前方展開」が必要と考えているようなので、このままでは辺野古の民意を無視することになりかねません。そんなのが本当にリベラルなのでしょうか。