アメリカのパット・ブキャナンという評論家が書いた『不必要だった2つの戦争』という本の中で彼はアメリカの第2次大戦の戦争指導を批判していました。

ドイツとソ連が戦争を始めた時にそれを放置しお互いに殺し合いを続けさせていた方が良かったのではないかというのです。

アメリカはソビエトと同盟してヒトラーの第3帝国を滅ぼすことになったのですが、その結果スターリンが東欧を丸々支配することを許し、アメリカはまたもや冷戦を長年に渡って戦わなくてはならなくなったのです。

ソビエトとドイツの戦いを放置することは一見残虐に見えますが、アメリカが一方的にソビエト側に加担してその後に冷戦を戦うことのコストを考えればはるかに前者の方が良かった気が私にはします。

実はこのことはオバマ大統領のシリア攻撃にも当てはまります。

アメリカはアサド大統領が化学兵器を使ったとして、それを罰するためにイスラム教のシーア派とスンニ派の内戦に加担しようというのです。

そしてピーター・ベイナートによれば、オバマ大統領は議会を説得するためにAIPACというイスラエルを擁護する団体に力を借りていると指摘しています。

この団体は以前からイランに対して空爆を強力に主張している団体です。こんな団体に力を借りれば、イランとの話し合いなど到底不可能になるのではないかと恐れるのです。

オバマ大統領がシリアを爆撃することは、知ってか知らずかスンニ派に加担してシーア派を罰することになります。そしてこの続きには同じシーア派のイランに敵対することにも繋がるのです。

果たしてイスラム教のシーア派を潰して中東は平和になるのでしょうか。

アメリカの9・11テロを起こしたアルカイダはスンニ派の過激派です。これを見てもアメリカが何をやろうとしているかさっぱり私にはわかりません。