少し間が空いてしまいましたが、ここでもう一度論点を整理しておきます。

戦争が起こるかどうかという問題は、その国の外交関係や軍事関係を見るよりも国内の政治問題を観察した方が良いというものです。

支那事変では日本の2・26事件と中国の西安事件というそれぞれの国内問題が相互作用をもたらして起きたものだったのです。

では現在の中国の内政に最も影響を与えた事態は何でしょうか。戦前の西安事件に匹敵するような事柄は存在していたでしょうか。

私は1989年に起きた天安門事件がそれに当たると考えています。

江沢民は天安門事件の時にいち早く改革派の新聞を廃刊に追い込み、それを鄧小平に認められて中国共産党のトップに躍り出ました。

その江沢民が天安門事件後に追求した政策で際立ったものが「反日」と「汚職」だったと石平さんは書いています。

現在の習近平政権から見ても江沢民の「反日」と「汚職」の問題は沈静化するどころかますます拡大しています。前者の問題は尖閣での領海侵入がほとんど毎日続いていことがそれを示しています。

西安事件も天安門事件も中国共産党は危機の時に、「反日」で生き延びようとしたわけです。

では現在の日本の場合はどうでしょうか。戦前の2・26事件でソ連を仮想敵とする皇道派が追放されて、中国の挑発にのるような状態になっているでしょうか。

今の日本には何処かの国を爆撃せよと叫ぶロビー団体は存在していません。アメリカではイランを爆撃せよというAIPACというようなロビー団体がそれなりに影響力を持っています。

「在特会」という在日韓国人などに対してヘイト・スピーチを繰り返している団体が日本で最も右寄りだと思われますが、これらの団体でさえ他国との戦争は主張していないのです。

現在のところ日本国内で中国の挑発にのる要因はほとんどありません。

だから尖閣問題で日中の間で何らかの事件が起こる可能性は存在しますが、それが戦争にまで拡大することはありません。戦前の支那事変みたいなことはあり得ないのです。