日本と中国は現在尖閣諸島を巡っていざこざを起こしていますが、それは本当に軍事衝突にまで発展するのでしょうか。

これから数回にわたってこの問題を考えてみたいとおもいます。

そもそも、戦争はどういう理由で起こるのでしょうか。

こういう問題を考える場合、立場として2通りあります。

一つは国際秩序の混乱が戦争を引き起こすと考える立場です。

これまで各国の力がバランスしていたのに、何かのきっかけでそのバランスが崩れ軍事的な衝突が起こるというものです。

もう一つは、国内の問題が戦争にまで発展すると考える場合です。

国内での何らかの出来事がその国の対外行動に現れてしまうというものです。

地政学者の奥山さんは後者の立場で、本人のブログには「国際秩序の混乱が戦争を引き起こすのではなく、国内秩序の崩壊が戦争を招くのだと考えている」と書かれています。

じつは私も最近、戦争などの国家の運命を左右する問題は国内問題から派生する場合の方がはるかに大きいのじゃないかと思っています。

尖閣問題を考える前に、1937年から始まった支那事変(日中戦争)の場合をみてみましょう。

以前にも指摘したように、この戦争が始まる1年前に日本では2・26事件が発生しています。

この事件の結果、帝国陸軍において日本の主敵がソビエトと考えていた皇道派といわれた人たちが追放され、中国を主敵だと考える統制派と呼ばれる人たちが主導権を握ったのでした。

このことによって、何かのきっかけで中国と戦争におちいる可能性が2・26事件以前よりも遥かに高まりました。ソビエトを仮想敵と考えていた人達が中国との戦争を抑止していたのが、突然いなくなったからです。

そして中国においても日本で2・26事件が起こった同じ年の昭和11年に重大な事件が国内で起きています。

それが「西安事件」と呼ばれるものです。

続く