親米保守派の人々がTPPは戦略的に中国を「包囲」するものだとあちらこちらでしゃべっていましたが、どうも間違っていたみたいです。

[北京 30日 ロイター] - 中国商務省は30日、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の可能性について検討する方針を明らかにした。

商務省の報道官は同省のウェブサイトで「中国は、慎重な研究と平等・相互利益の原則に基づき、TPPの利点や問題点および参加の可能性について分析する」とするコメントを発表した。

さらに「交渉に関し、TPP参加国と情報や資料を交換していくことも望んでいる」と述べたほか、政府各省庁や業界からTPPについて意見を求めていることも明らかにした。

TPP交渉参加国は現在12カ国。日本の交渉参加は今年4月、TPP閣僚会合で承認された。
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NHKの19時のニュースでもアメリカ政府が中国の加入を促したということを伝えていました。

では、一体アメリカはなぜTPPを推進することになったのでしょう。ここからは私の仮説です。

近年、アメリカの東アジア政策の担当者に最も衝撃を与えたのは、我が鳩山元首相の「アジア共同体」の提唱の他にありません。

この問題について、このブログでもよく取り上げるハーバード大学のナイ教授は『日米同盟 vs 中国・北朝鮮』という本で次のように語っています。

「しかし、米国を排除するというのなら、それは日本にとってだけでなく、中国にとっても逆効果でしょう。中国も日本も米国の市場に以前として依存しているからです。もし、米国が『外されている』と感じたならば、恐らく報復に打って出ると思います。それは高くつきますよ。」

いつも冷静なナイ教授もこの問題を語る時にはとても感情的になり、「恫喝」することも厭わなかったのです。

さほどに鳩山元首相の「アジア共同体」への衝撃は大きかったのです。

そもそも戦前からアメリカがアジア地域から追い出されるという懸念はありました。だから力ずくで日本の「大東亜共栄圏」を阻止することにもなったのです。

アメリカは21世紀にもなって同盟国の日本から「大東亜共栄圏」と似たような「アジア共同体」などという言葉が出てくるとは思ってなかったでしょう。

その鳩山首相が米軍基地問題でつまずき辞任してから後の菅直人政権以後、アメリカ政府は執拗に日本のTPP加入を求めてくることになったのです。

つまり、もう2度とアメリカを排除した経済や政治の共同体を作ることを提唱させないようにすることがTPPの目的じゃないかと私は思うのです。

ルーピー鳩山の置き土産というわけです。