産経ニュースから

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 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は17日、慰安婦をめぐる自らの発言を米政府当局者が批判していることに対し「米国は日本占領期に日本人女性を活用した。(日本人を)特殊な人種と批判するが、違う」とツイッターで反論した。

 橋下氏は「確かに日本がやったことは悪い。戦場での性の対応策として女性を活用するのは言語道断だ」とした上で米、英両国、フランス、ドイツも「現地の女性を活用していた」と主張。「日本だけを特別に非難するのはアンフェア。米国はフェアを重んじる国だ」「米国をはじめ世界各国も反省するべきだ」とも書き込んだ。

 米国高官の批判に関しては「中国と同様の態度、振る舞いのようだ」と不快感を示した。

 橋下氏は13日、慰安婦について「あれだけ銃弾が飛び交う中、精神的に高ぶっている(旧日本軍の)猛者集団に必要なのは誰だって分かる」などと発言した。

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橋下徹市長がなぜこの時期に従軍慰安婦の問題を取り上げたのかは不明ですが、アメリカからの批判にきっちりと反論したのは大変立派だと思います。

戦後の日本の政治家の中で公衆の面前でアメリカに反論できる人がいたでしょうか。大抵の日本の保守政治家は韓国や中国に対しては文句が言えるもののアメリカの前ではだんまりを決め込み日本の「植民地根性」を育んできたのです。

アメリカとある程度の対立を経験することなく「戦後レジーム」からの転換などできるわけがありません。

さて、つい最近、私は『石原莞爾 マッカーサーが一番恐れた日本人』という本を読みました。

石原莞爾は、満州事変を指導したことで有名ですが、敗戦後の彼の堂々とした態度の方に興味が惹かれました。

彼は東京裁判で被告として裁かれなかったことを悔やみました。本人は「俺の名前があったらな。この裁判をひっくり返してやるんだがー」と思っていたそうです。

その石原がアメリカ軍の法務官から尋問された時に「ペリーを戦争犯罪人に指名しろ」と言い出し、法務官が怪訝な顔をしたところ、次のように答えています。

「君は貴国の歴史を知らないのかね。貴国のボスではないか。いいかね。日本は当時、徳川封建時代で、どこの国とも付き合いしたくない、と言って門戸を閉ざして鎖国主義をとっていた。それを貴国のペリーが黒船に乗ってきて、門戸を開けろと迫り、列国との交わりを強要した。それで日本も門戸を開放して外国との交際をしてみた。すると、列強は皆んな侵略主義の恐ろしい国だと知ったのだ。それから日本は自衛のために貴国らを大先生として泥棒の侵略主義を習い、覚えた。いわば日本はアメリカの弟子だ。教わったことを日本がやったら、今度は、日本は戦犯だという。だからペリーを呼んで来い。彼をあの世から読んできて、戦犯としてはどうかね」

私としては、石原莞爾が戦犯に指名され、このようなことを市ヶ谷で披露してくれたら良かったと思ったのですが、逆にアメリカ側としては本当に石原莞爾が怖かったのかもしれません。

石原の主張していることは簡単です。確かに「侵略 」はいけないことだが、そもそもそれを行ってきたのは西洋列強が最初で、遅れて侵略を行った日本だけを「戦犯」として裁くことができるのかという問題提起でした。

これは、橋本市長の問題提起と論理構造が一緒です。

確かに「従軍慰安婦」の制度は批判せざるを得ないものだが、本当に日本だけを批判してこの問題が解決できるのだろうか。アメリカも日本占領中にそれを利用したし、韓国も朝鮮戦争時代に、全く同じようなものを設置しているのです。

日本だけを批判することは橋下市長のの言うとおり全くフェアではありません。

ただ、他がやっているから日本も許されるべきだという変な理論にならないように、日本の行動も悪いと橋下市長は批判しているのです。石原莞爾も侵略は泥棒と自覚していたように。

さて、アメリカ側は橋下市長の論理にどのように反論してくるか見ものです。石原莞爾のようにうやむやにされる可能性もあるのではないかと個人的には危惧しています。