菅原出さんの『秘密戦争の司令官オバマ』というアフガニスタンで実際どのようなことが行われているかを描いた本を読みました。

結論からいえば、オバマ大統領のうまくいっているという演説は大嘘で、実際はアメリカがもし完全撤退するようなことがあれば、すぐに内戦が始まり最後にはタリバンの支配が復活する様相を見せています。

この本で私が一番興味を持ったのがオバマ政権内部の対立です。

オバマ大統領がアフガンに兵力を増派する時に、ある論争が勃発します。

元陸軍大将のアイケンベリー大使は、「カルザイ政権の無能力や腐敗の問題を抜きに米軍を増派しても意味はない」と正論を唱えました。

ところが、これに対して同じ軍人のマクリスタル司令官は、「米政府はもっとカルザイ大統領に対する権威を目に見える形で表現し、カルザイ大統領の正統性を高めるために努力すべきだ」と主張しました。

最初、オバマ大統領はアイケンベリー大使の正論を取り入れカルザイ大統領に圧力をかけたのですが、カルザイ大統領はこの圧力に対して「タリバンに入るしかない」と逆に恫喝する始末でした。

その結果、オバマ大統領はカルザイ大統領に屈する形になり、カルザイ大統領の「腐敗」や「無能」はアメリカが駐留する限り続いていくことになったのです。

私はこれと似たような話を鳥居民さんの『昭和20年』で読んだことがあり、本棚から取り出して確認しました。今から70年前の大東亜戦争中の中国でこれと全く同じことが発生していたのです。

当時、蒋介石を支えていたスティルウェルとシェーンノートの間でアフガニスタンにおけるアイケンベリーとマクリスタルと同様な論争が繰り広げられていました。

アメリカ陸軍の退役飛行将校だったシェーンノートは楽観的で、戦闘機100基と軽爆撃機30基そして重爆撃機12基があれば日本をうち負かせると主張しました。

一方スティルウェル司令官は、シェーンノートの案に否定的で、中国軍の再編成を行わない限り、中国軍の航空基地を日本軍の攻撃から守ることはできないと考えていたのです。そして、何よりも「重慶政府の腐敗と無力ぶり」を批判したのでした。

当然、蒋介石はスティルウェルが大嫌いで、シェーンノートの案をルーズベルト大統領と実行しました。

ところが、昭和19年4月の日本の陸軍が発動した一号作戦で、シェーンノート指揮下の航空基地はたちまちのうちに席巻されてしまったのです。

スティルウェル将軍の方が正しかったわけですが、この後どういうわけか、蒋介石の策謀によって、スティルウェルはお役御免となってしまいました。

この後の出来事はよく知られています。蒋介石は、共産党との内戦に敗れ、アメリカも最後には中国白書で国民党の「無能」と「腐敗」を断罪し、切り捨ててしまうのです。

オバマ政権が、現在アフガニスタンでやっていることも、ルースベルトが70年前に中国でやっていることと同じで無駄に終わることは確実のようです。