元国防次官補のジョセフ・ナイが日本に集団的自衛権の行使を奨励し、安部氏を筆頭に日本の保守派はそれが中国相手だと思って、その政策の実現に努力しています。

しかし、私はアメリカが中国と戦うということは現時点で全く考えられず、アメリカが期待しているのは中東での戦争ではないかと推察していたところ、平和安全保障研究所理事長・西原正という人が先日『産経新聞』に次のようなことを指摘しています。

「イスラエルがイランに対し軍事的に動けば、米国も引きずり込まれるであろう。イランによるペルシャ湾封鎖は自国の首を絞めることになるので、可能性は低いと思われるが、日本を含む西側約30カ国の海軍はこの9月にペルシャ湾封鎖を想定した機雷掃海合同訓練をすでに行った。日本も深刻な事態を考えておかねばならない。」

知らない内に事態は着々と進行しているわけです。

そして、本当に日本がペルシャ湾の機雷掃海に協力するようになっても、これは戦後始めての日本の軍事協力では無いということです。

朝鮮戦争の最中に日本は連合軍最高司令官の指令で、元海軍軍人が召集され韓国沿岸の機雷を処理するために派遣されているのです。しかし、このことは戦後の歴史では無かったことになっています。

日本の保守派は集団的自衛権の行使によって新たな日米協力が可能と思っているようですが、実は朝鮮戦争時代に戻るだけなのです。