ジョージ・マクガバンは、ベトナム戦争に反対し、冷戦がまだ続いているのにCome home, Americaと叫んでしまいました。結果、ニクソンとの大統領選では一州しか獲得できず、大惨敗を喫してしまったのです。

そのマクガバンが大統領選の外交討論会の前日に亡くなってしまいました。

この意味合いにについて、米国保守系の評論家ジョージ・ウィルがワシントン・ポストに書いていましたので、重要部分を訳してみます。

・40年前、マクガバンのスローガンは、「アメリカ帰って来い」であった。そして彼は49の州を失った。ところが今日、かれのスローガンは少なくとも相対多数、もしくは過半数のアメリカ人の考えを代表している。

・パパ・ブッシュ大統領は、100時間の湾岸戦争でヴェトナム症候群を無くせると期待した。しかし、彼の息子のイラク戦争はマクガバンが育てたヴェトナム症候群よりはるかに耐性のあるイラク戦争症候群を生み出してしまった。

・1917年ウィルソン大統領は第一次大戦の参入によってアメリカを国際政治の激流に放り込んだ。1972年、冷戦の最中にもかかわらずマクガバンはアメリカの縮小を時期尚早に訴えた。しかし、40年後、10回の大統領選の後、アメリカは半分マクガバン状態になっている。オバマ、ロムニー両候補もそれを知っているようだ。

ヘンリー・キッシンジャーなども指摘していることですが、アメリカ外交には「十字軍」と「孤立主義」という正反対の要素が存在し、時代によって変化してきました。

ジョージ・ウィルはこのコラムの中で、冷戦の最中に孤立主義指向だったジョージ・マクガバンの悲惨な失敗を指摘しながら、イラク戦争の失敗によってマクガバンの孤立主義がアメリカに「半分」だけ復活していると書いています。

アメリカが次に対外介入を失敗すれば、「半分」は「全部」になるかもしれません。

実際問題としてCome home, Americaとなってしまったら、どうなるでしょう。

日米安保など簡単に吹っ飛ぶと私は思っています。