前回の続きです。

ジョセフ・ナイのインタビューはここにあります。

以前読んだジェームス・マンのThe Obaminans という本では、クリントン国務長官は最初ナイを駐日大使にするつもりだったそうですが、オバマ大統領がその案を潰して選挙資金に貢献のあったルース氏に決めたそうです。

このインタビューの中で中国に対する重要な発言を抜き出してみました。

「尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象だ。アメリカは、19世紀から由来する尖閣諸島問題について、究極的な持ち主が誰であるかについて日中いずれの側にもつかないことを明確にしている。だが、安全保障の観点においてはアメリカがカバーする。そのため、中国が日本に対して軍事力を行使することはないだろう。」

「日米中三国にとってベストなのは、日米、日中、米中という三角形の関係が向上することだ。PLA(人民解放軍)がアメリカに対して、軍事行動に出るのではないかという疑いを持つことは、三国にとっていいことではない。」

「 中国に対して敵意を抱くことは、日米両国がやってはならないことだろう。つまり、中国との関係は、長期的な前向きの関係を築いていくことだ。他方、北朝鮮との関係は、不安定な政権が発する軍事行動のとばっちりを受けないようにすることだ。」

これらの発言からわかることは、やはりナイは中国と戦うことなどほとんど考えていないということです。一方、次のような重大なことを短く口走っています。

「いい例が中東やペルシャ湾で自衛隊が行っている海賊対処行動だ。中国との関係で言えば、沿岸警備能力の中で領有権問題のある地域についてはモニター活動を行い、防衛するということだ。ただし、日中間の紛争を引き起こすようなことだけは避けなければならない。」

日本が集団的自衛権を行使すれば、ナイの言う「中東やペルシャ湾で自衛隊が行っている海賊対処行動だ」が何時の間にか「機雷除去」になりかねないのです。

このインタビューアーもそうですが、日本人は安全保障問題になるとどうしても東アジア限定になってしまいます。ところが、アメリカの場合はグローバルに展開しているわけで、そこを注意しないととんでもないことになってしまいます。