イギリス人であるGideon Rachman という人が、Financial Times にドイツ人に少しばかり同情して次のように書いています。
「1930年代のようにスペインの出来事は、ヨーロッパの運命を握っているようだ。もうすぐにケインズ主義を標榜するエコノミストの集団がカタロニアに到着するだろう。そして、ドイツはもう一度悪者にされるのである。もちろん、戦後のドイツの民主主義に対して誰も疑問をもっていない。ギリシャの末端の新聞がヒトラーとメルケルを比較しているだけである。しかし、世界の紙面から見えるのは、頑固なドイツ人が世界を脅かしているという姿である。今週のエコノミストのカバーは、世界経済が沈む中で『メルケル首相次第だ』というものであった。」
クルーグマン教授の新刊でも、ドイツの緊縮財政を批判しています。ヒトラーを産んだのは、1920年代のハイパー・インフレではなく1930年代のデフレだと書いて、ドイツは3ー4%のインフレにしなければならないと言うのです。
しかし、そもそもドイツはマルクを捨ててユーロに乗り換えることに熱心ではありませんでした。
ちょうどこの時期、冷戦が崩壊してドイツの統一が問題になります。英国のサッチャー首相とフランスのミッテラン大統領が強硬にドイツ統一に反対するのです。
そこで、ドイツのコール首相は、ミッテラン大統領と統一ドイツとユーロ導入の交換の約束を結ぶのです。
果たして、ユーロの失敗をドイツに帰すのは、私もRachman のように少し気の毒な気がします。