昨日述べたように、現在アメリカではオバマ大統領よりイスラエルのネタニヤフ首相の方が発言力が強いのです。

なぜこのような異常な状態が続くのでしょうか。

アメリカのユダヤ人の多大なる献金による影響も大きいのでしょうが、私が重要だと思っていることは、アメリカのキリスト教保守派が現在のイスラエル政権を応援していることにあります。

昨日紹介したピーター・ベイナートの本にもそう書いてありました。

しかし、私はアメリカの宗教保守派の外交能力について全く評価していません。

例えば、戦前もアメリカのキリスト教保守派は中国にいる宣教師の影響を受けて、チャイナ・ロビーを構成する有力な中国国民党支持者になりました。日本とアメリカが戦争に至ったのにも彼らの活動がおおいに関係していました。

ところが、第2次大戦が終わり、アメリカのエリートは国民党の中国を「腐敗と無能」と断罪し、切り捨ててしまうのです。結局、中国は共産党のものになってしまいました。

このアメリカの失敗について、キリスト教保守派は自分達が間違っていたとは考えずに、国務省などにいる影の共産主義者が中国を売り渡したとの陰謀論を唱え、あげくには「赤狩り」にまで発展してしまったのです。

赤狩りを始めたマッカーシー議員がチャイナ・ロビーの一員だったことが、この変な関係性を証明しています。

中国に対する、キリスト教保守派の予想はこのように破綻したのですが、翻って彼らのイスラエルに対する態度は正しいのでしょうか。

私には、正しいとは思えません。

いずれ、キリスト教保守派は自分達のイスラエル政策が間違っていたことに気付くでしょう。

その時に、彼らは自分達が間違っていたと素直に反省するのでしょうか、それともまた新たな「赤狩り」を始めるのでしょうか。