ピーター・ベイナートの『シオニズムの危機』という本を読みました。最近、私が注目しているアメリカの若手の外交評論家です。
この本のテーマは「ユダヤ人はホロコーストなどの悲劇にあい、被害者意識のままで、中東のスーパー・パワーであるイスラエルの政治を行っている。それがパレスチナ人の人権無視につながっている。」というものです。
ユダヤ系の著者によれば、イスラエルの建国思想であるシオニズムには、権力に対する憧れと共に、民主的なリベラルな思想が含まれていたといいます。ところが1967年の6日間戦争で、イスラエルは危機に陥り、イスラエルやアメリカのユダヤ人は、シオニズムにあったリベラルな思想を後退させ、力の正統性ばかりを訴えるようになったそうです。
このような思想を体現しているのが、現在のネタニヤフ首相です。彼は自分が書いた本の中でパレスチナ人に対して、チャーチルを引用して「パレスチナ人をそのままにしとけば、1000年経っても灌漑や電力化はできないだろう」というようなことばかり書いているそうです。
当然ネタニヤフ首相は、パレスチナ国家を作ることにも消極的で、仮にそのような国家ができたとしても、ウエスト・バンクの40%しかパレスチナに戻らないそうです。
一方、オバマ大統領は、学生時代からリベラルなユダヤ系の人々から影響を受けてきました。当然、彼は将来のイスラエルの為にも、パレスチナ国家を早急に作らなければならないと思っています。
ところが、現在のアメリカの政治状況で、力を持っているのは、オバマ大統領ではなく、ネタニヤフ首相なのです。オバマ大統領が最初の発言をことごとく後退させている事実が私にとってもっともショッキングでした。
もちろんこのような政治状況を作ったのには、ワルト教授やミアシュハイマー教授の指摘した、「イスラエル・ロビー」の問題があるわけです。
さて、このような異常な状況から逃れる為には、ウエスト・バンクに入植するユダヤ系企業の製品をボイコットすることなどで、イスラエルを正常化させなければならないと著者は主張していますが、私には本当にそれが有効なことかはわかりません。
ただ現在、ネタニヤフ首相が、アメリカをイランとの戦争に引きずりこもうとしていて、再選を願うオバマ大統領にそれを拒否する力が無いことだけは確かなようです。
The Crisis of Zionism/Peter Beinart

¥2,202
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この本のテーマは「ユダヤ人はホロコーストなどの悲劇にあい、被害者意識のままで、中東のスーパー・パワーであるイスラエルの政治を行っている。それがパレスチナ人の人権無視につながっている。」というものです。
ユダヤ系の著者によれば、イスラエルの建国思想であるシオニズムには、権力に対する憧れと共に、民主的なリベラルな思想が含まれていたといいます。ところが1967年の6日間戦争で、イスラエルは危機に陥り、イスラエルやアメリカのユダヤ人は、シオニズムにあったリベラルな思想を後退させ、力の正統性ばかりを訴えるようになったそうです。
このような思想を体現しているのが、現在のネタニヤフ首相です。彼は自分が書いた本の中でパレスチナ人に対して、チャーチルを引用して「パレスチナ人をそのままにしとけば、1000年経っても灌漑や電力化はできないだろう」というようなことばかり書いているそうです。
当然ネタニヤフ首相は、パレスチナ国家を作ることにも消極的で、仮にそのような国家ができたとしても、ウエスト・バンクの40%しかパレスチナに戻らないそうです。
一方、オバマ大統領は、学生時代からリベラルなユダヤ系の人々から影響を受けてきました。当然、彼は将来のイスラエルの為にも、パレスチナ国家を早急に作らなければならないと思っています。
ところが、現在のアメリカの政治状況で、力を持っているのは、オバマ大統領ではなく、ネタニヤフ首相なのです。オバマ大統領が最初の発言をことごとく後退させている事実が私にとってもっともショッキングでした。
もちろんこのような政治状況を作ったのには、ワルト教授やミアシュハイマー教授の指摘した、「イスラエル・ロビー」の問題があるわけです。
さて、このような異常な状況から逃れる為には、ウエスト・バンクに入植するユダヤ系企業の製品をボイコットすることなどで、イスラエルを正常化させなければならないと著者は主張していますが、私には本当にそれが有効なことかはわかりません。
ただ現在、ネタニヤフ首相が、アメリカをイランとの戦争に引きずりこもうとしていて、再選を願うオバマ大統領にそれを拒否する力が無いことだけは確かなようです。
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