最近中国の温家宝首相が「政治的な改革が成功しなければ、経済の構造改革も成功しないし、その結果今まで獲得したものを失うかもしれない。・・・中国の社会に新しく出てきた問題についても解決できないし、文革の悲劇を招くかもしれない」という警告を発して話題になりました。

 本当に政治改革ができなければ、文革の再来を招くのでしょうか。

 温家宝首相の発言と直接関係はありませんが、薄煕来・重慶市トップが15日に解任されました。この薄煕来という人物は矢板さんの『習近平』によれば、太子党という共産党の幹部の子供達などで作るグループの一員で、習とは同じグループ内でのライバル関係にあるそうです。

 その薄が重慶で奇妙な運動を行っています。

 「『唱紅』という新しいキャンペーンを始めた。唱紅とは、共産党や毛沢東を賞賛する革命家を市民に広く歌わせる運動で、数千人の市民を集めて紅い歌謡祭を複数回開催したり、小中学生や公務員に対し36曲の革命歌の暗記を義務づけたりするなどの運動を積極的に展開した。」

 「毛沢東ポピュリズム」で人気を取ろうとする薄に対して、それを恐れる胡錦濤、温家宝指導部の怒りを買ったことは言う間でもありません。どうも薄は彼らによって潰されたようです。

 この薄解任問題について、アメリカの中国系学者のミクシン・ペイはこう解説しています。

 「薄の左翼的ポピュリズムに人気が集まるのは、普通の中国人が毛沢東の時代に戻りたいと思っているわけではなく、現状におおいなる不満を抱いているからだ。・・・もし新しい指導部が現状を改めない限り、庶民の不満は拡大し、薄のような野心のある政治家がそれを利用するだろう。」

 つまりちゃんとした政治改革をしないと、温家宝首相がいうように本当に文化大革命みたいなことが起きてしまうだろうとペイは言っているわけです。

 では、次の指導者になる習は、民主化を含む政治改革をやるつもりがあるのでしょうか。

 どうも矢板さんの本を読む限り全くなさそうです。「すべての問題を先送りにした前任者の胡錦濤と同じやりかただが、いまのところ習近平はこれを実行しようとしているようにみえる。」と書かれています。

 しかし、胡錦濤の時代には10%の経済成長がありましたが、それがずっと続くという保証はありません。このまま何もしなければ、本当に温首相の予言が当たってしまうような気が私にはします。

 やはり習近平は共産党の最後の指導者になってしまうのでしょうか。